――ツイッターのハッシュタグは「#高木さんめ」となっていますが、これも興味深いですね。
前川 「高木さん」にしてしまうと、ほかのツイートに紛れてしまう懸念があることに加え、西片くんがよく高木さんにからかわれた後などに「高木さんめ~!」と言うので、「それを使ってみよう」と。実は、公式サイトのURLも「http://takagi3.me/」となっており、ハッシュタグも合わせたかたちです。みなさん、ツイッターでのリアルタイム実況を楽しんでいるのを感じています。
――田中禰宜は、ご覧になっていますか。
田中 私もリアルタイムで楽しんでいますが、おもしろいですね。参拝客の方からも「昨日見ましたよ」とお声がけいただくことが多いです。ツイッターなどで「うちの近くだ」となって参拝される方も増えました。
――このアニメでは、高木さんが西片くんをからかう様子に視聴者がニヤニヤすることが多いと思いますが、その点はいかがですか。
田中 単行本のときと同じく、アニメでもニヤニヤすることが多いですね。
前川 高木さんと西片くんのやりとりや駆け引きが真骨頂ですが、多くの「からかい」エピソードを考えられている山本先生は「本当にすごいなぁ」と感心してしまいます。どんなふうに着想されるのかが気になりますね。
見ていると、いろいろなことを感じます。「学生時代、こうだったらよかったな」という思いや、「西片、そこ代われよ」との思い。また、2人をほほ笑ましく見守るような感情もあり、さまざまなベクトルで楽しんでいます。私は男子校でしたから、特になのかもしれませんが(笑)。ただ、学生時代は誰もが経験しているため、幅広い世代に共感していただけるのではないかと感じています。
――田中禰宜も、学生時代は隣に高木さんがいてほしかったですか。
田中 いてほしかったですね。共学でしたが、隣に女子がいても話すことはなかったです。あのようなシチュエーションになることもなかったですから。西片くんが本当にうらやましいです。
『高木さん』ファンの中国人や韓国人も参拝
――今、アニメはさまざまなかたちでコラボを行うなど進化しています。今後は、どのような方向に進むのでしょうか。
前川 やはり、やみくもにコラボするよりも作品との関連性を持たせるほうがいいと思います。企業や自治体側と双方で、より高い熱量を持って取り組むことができれば、お互いに良い関係ができあがります。また、おそらくコラボというのは視聴者の方が納得しないと難しい。そういった意味でも、今回高木神社とコラボできたことはよかったです。
――コラボによって、高木神社の知名度も高まったのではないでしょうか。
田中 そうですね。「いつも通っているあの神社が、コラボしているところか」という方もいます。アニメの力なのか、韓国や中国をはじめとするアジア圏の方々も参拝されます。みなさん『高木さん』が好きで、中国人の参拝客が5~6人で高木さん等身大パネルと一緒に撮影したり、韓国人の方が喜んでオリジナル御朱印帖を手にしています。
――アニメは国境を越えますね。日本は「観光立国」として「訪日外国人4000万人」を目指していますが、アニメは観光資源になり得ると思いますか。
前川 最近は海外の方も日本で“聖地巡礼”やアニメグッズ探しをされていますからね。高木神社は地理的にも秋葉原から遠くないので、国内の方も海外の方も「買い物や観光のついでに気軽に立ち寄ってもらえそうだな」と思いました。
――これから、高木さんと西片くんはどうなっていきますか。
前川 高木さんの、西片くんに対するさまざまな“からかい”が続いていきます。、いつもはからかわれっぱなしの西片くんですが、思わぬ反撃なんかも……という展開もあるかもしれません。最後まで、2人のやりとりをニヤニヤして見ていただければありがたいですね。「世界を救う」などのダイナミックな展開はありませんが、毎回のやりとりのなかにゆるやかな時間が流れる空気感の作品だからこそ、視聴者の方も安心して楽しんでいただけるのかなと思います。
――神社とアニメのコラボについて、あらためて思いのほどをお聞かせください。
田中 神社には「こうでなくてはならない」という決まり事があるのも事実です。しかし、一方でエンターテインメントの要素も取り入れていきたいと考えています。そして、みなさんに足を運んでいただき楽しんでいただければ幸いです。
昔、神社は人が集まる場所でした。そういった古き良き部分を残しつつ、新たな方々も集まるきっかけになればと思います。1468年に創建された高木神社は、2018年6月で「御鎮座550年」を迎えます。式年大祭を開催する予定ですが、これには多くの地域のみなさんが参加され、私も奉仕に務めたいと考えています。100年後には「うちの神社はアニメとコラボしていたんだね」と言える思い出に残る神社として、地域のみなさまと共に歩んでいきたいです。
(構成=長井雄一朗/ライター)