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小中学校の義務教育、文科省から移管案が浮上…事実上の文科省“解体”案、内閣府が提示

文=編集部
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文科省のYouTube公式チャンネルより

 菅義偉首相は4月1日、首相官邸で自民党の木原誠二前政調副会長ら有志議員と会い、子どもに関する政策調整を一元的に担う「子ども庁」を設けるよう求める提言を受け取った。「強い決意でしっかり取り組んでいく」と伝えた。

 4月2日の東京マーケット。にわかに「子育て支援」関連銘柄が動意づいた。子ども庁の創設により、子育て支援に関する政策が充実されるようになれば、関連する企業の事業機会が増えるとの思惑が働いた。

 放課後のスポーツクラブ形式の幼児体育指導が主力の保育所を運営する幼児活動研究会(ジャスダック上場)は同日、制限値幅の上限(ストップ高水準)である前日比(29.9%)高の1304円まで株価が上昇。4月6日には年初来高値2004円をつけた。年初来安値の975円(3月6日)の2倍になった。

 認可・認証保育所など保育施設を幅広く運営するJPホールディングス(東証1部)は4月5日、年初来高値の354円に上昇。自治体の委託を受けて保育所を運営するグローバルキッズCOMPANY(同)は4月5日、1285円の年初来高値となった。子育て中の女性を対象に育児支援や、放課後の学童クラブを運営するSERIOホールディングス(マザーズ)も4月5日、前営業日(4月2日)比55円(4.9%)高の1175円をつけた。いずれも低位株だが堅調ぶりが目立った。

 ナニー(教育ベビーシッター)やベビーシッター派遣のポピンズホールディングス(東証1部)は4月2日、年初来高値の4730円。その後、一服商状となったが4月28日は260円高の4480円。高値圏でもみ合っている。

 新規上場組にもスポットライトが当たった。妊娠・出産・育児の専門情報を提供するウェブサイトのベビーカレンダーは3月25日に東証マザーズに上場した。初値は公募・売り出し価格(4200円)の2.2倍にあたる9400円。勢いは続き、4月5日には1万3050円にはね上がった。なお、4月28日の終値は9350円(170円安)である。

学研が幼児教育教室を買収

 M&A(買収・合併)の動きも活発だ。学習参考書など教育関連の出版大手、学研ホールディングス(HD/東証1部)は1月、保育所大手JPホールディングスの発行済み株式の30.72%を取得し、持ち分法適用会社に組み入れた。取得額は98億円。学研HDは幼児教室のほか保育所の運営にも乗り出す。

 学研HD傘下の学研エデュケーショナル(東京・品川区)は、トーハンと小学館が共同出資する書籍販売会社・綜合教育センター(東京・文京区)から「知能教室 めばえ教室」事業を買収する。買収金額は非開示。めばえ教室は全国200カ所のショッピングセンターなど立地の良いところに1歳から小学生を対象に幼児教室を展開している。学研グループ入りで、生徒数を3年後に3000人増の1万人とする。学研教室の会員数は約40万人。3~6歳児の会員数が5年で倍増した。幼児教室の強化などをテコにグループ全体の会員数を100万人規模に引き上げるとしている。

「子ども庁」で内閣府と文科省が対立

子ども庁」に関して、独自の原案を内閣府が2案、文部科学省が1案用意し、与党議員に説明を始めた。3案はいずれも、省庁の所管が異なる幼稚園(文科省所管)、保育園(厚生労働省所管)、認定子ども園(内閣府所管)を「子ども庁」に一元化する構想だ。内閣府案の1つは、子ども庁を各省庁から独立した組織として内閣府に新設。首相の直属機関として「子ども総合政策相」を置き、その下に次官級ポストの「子ども庁長官」をつくる。

 もう1つの案は未就学児に加え、現在は文科省が担う小中学校の義務教育も子ども庁に移管するというものだ。これは文科省の解体に等しいもので、文科省が猛反発するのは必至といわれている。

 これに対して文科省案は、同省の下に「子ども庁」を設ける。幼稚園や小中高を担う初等中等教育局と総合教育政策局から子供の福祉と保健に関連の深い業務を「子ども庁」に切り出し、その他は文科省に残す。具体的な業務内容としては、幼児教育、生徒指導、学校保健、学校安全を考えている。厚労省や内閣府所管の保育園や認定子ども園も文科省に取り込もうという試みだ。文科省の権限の拡大にほかならない。

 どこを落としどころにするのか。菅首相の持論である「縦割り行政打破」とどう関連づけるかが焦点となる。

 政府は子ども庁を経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込み、22年度予算案に反映させる方針だ。自民党も総裁直属機関を設置して議論を始めており、次期衆院選の目玉政策とする。来年の通常国会への設置法案提出を視野に、政府・与党内で具体的な組織のあり方の検討を進める。

「子育て支援」銘柄の買いは一巡し、株価は下落したが、今後、予算規模など具体的な数字が出てくれば、再び関連株が買われる場面がありそうだ。

(文=編集部)

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