23日に社長解任の審議
現社長に関する写真や証言が、この時期に噴出したのには理由がある。
実は、3月23日には、JPHDの臨時株主総会がある。中身は荻田氏の解任を求めるもので、解任を求める関係者から写真や証言が出てきたのだ。
同社は、前社長で創業者の山口洋氏が15年に社長を辞任して以降、経営権をめぐるトラブルが続いている。山口氏は事実上、現経営陣から追い出された格好だったため、荻田氏の退任などを要求。これまで3回の株主総会については、会社側が「かろうじて」勝利してきた。
ところが18年に入ると、今度は正体不明の新しい株主が登場し、荻田氏の退任を要求してきた。3月23日の臨時株主総会は、その株主の請求による総会なのだ。さらにややこしいことに、山口氏は持ち株の大半となる27%の株式を投資ファンドに売却している。理由は不明だ。このファンドがどのような判断をするのかは不透明で、もはや敵味方が誰かもよくわからない「バトルロワイヤル」状態になっている。
こうまで混沌とした状態になってしまったのは、荻田氏自身の脛に傷があるからとの指摘がある。
昨年11月に同社が公表した「第三者委員会による調査報告書(要約版)」は、荻田氏によるパワーハラスメントまたはセクシャルハラスメントの存在を明らかにした。実は、この調査報告書は、元社長で当時大株主だった山口氏の社長復帰を断ち切るために、過去の山口氏のトラブルを白日の下に晒すことが目的だったのだが、その報告書は現社長の荻田氏のパワハラ、セクハラまで認定し、いわば「痛み分け」のような結果になってしまった。
同社は昨年12月に「第三者委員会調査報告書に基づく当社の対応に関するお知らせ」として見解を発表。「荻田氏の行為が状況や頻度等によっては、ハラスメントに該当し得ると指摘するにとどまるものであり、当社は報告書の記載内容を根拠として荻田の取締役としての適格性がないとすることはできないない」(同社資料より)と釈明している。しかし、実態は先述したように、セクハラ・パワハラの実態はかなり悪質である可能性が高く、会社の説明はかなり「手前味噌」と言わざるを得ない。
いまだに第三者員会調査報告書の「詳細版」は発表されておらず、本当に荻田氏に「適格性がある」のかどうかが疑われている。株主や同社関係者の間で、荻田氏への不満が募ってきているのは当然だろう。
だが、23日の臨時株主総会では、荻田氏の首が飛ぶ可能性は低いとみられている。株主提案が承認されるには、議決権の3分の2の賛成票を集める必要があり、関係者による票読みでは、荻田氏解任の決議は否決される見通しだという。とはいえ、これまでの株主総会はいずれも「僅差」で勝利してきた荻田氏の地位が、今後も安泰であるとは限らない。
荻田氏は、疑惑が噴出しているセクハラ・パワハラ問題にどうやって決着をつけるのか。さらに、複数登場した正体不明の大株主たちは、今後どう動くのか。JPHDの経営をめぐるトラブルは混沌としている。
こうした経営上のゴタゴタがいつまでも続くのは、決して喜ばれることではない。グループは、全国13の都道府県で、保育園、学童クラブ、児童館の合計262施設を運営(17年7月現在)しているが、イメージの悪化は避けられず、運営や採用面でのダメージも大きいだろう。早期の決着が望まれるところだ。
(文=編集部)