情報を知る上で重要なアイテムであるはずの新聞が、岐路に立たされている。日本財団が9月に行った新聞をテーマにした「18歳意識調査」で、驚きの結果が発表されたのだ。
調査対象は全国の17歳から19歳の男女で、「あなたは普段、新聞を読んでいますか」という質問に対して「読んでいない」が過半数超えの52.5%という結果に。新聞を読まない理由については、「面倒くさい・読む時間がないから」(50.7%)が1位となっている。
さらに「あなたは将来、新聞に月額いくらまでなら出してもよいと思いますか」という質問でも気になる結果が。紙の新聞に対しては51.8%、オンラインの新聞は69.6%が「お金を出して購読しようと思わない」と回答。お金を出してもよいと回答している人のなかでもっとも多いのは、紙が「月1000円くらいまで」(8.5%)、オンラインが「月500円くらいまで」(7.6%)だった。
インターネットの普及により、新聞はこれまでにも不要論が取り沙汰されてきた。ネット上でもさまざまな意見が飛び交っており、
「ネットからタダで情報入るのに購読する必要あるの?」
「新聞は偏向報道があるから情報として鵜呑みにできない」
「ネットニュースで十分。新聞は情報量が多すぎると思う」
「就活のときに新聞を読んで身につけた知識が役に立った」
「ネットは知りたい情報が手に入るけど、新聞は知らなかった知識も目に飛び込んでくるのが魅力」
といった声がみられる。
偏向報道という観点では新聞社による“印象操作”が問題になることがあり、今年3月には麻生太郎財務相が会見で「あんたの書き方信用できんからね」と名指しで新聞社を非難。そういった経緯もあってか、講演会で「新聞とるのに協力なんかしないほうがいい」と発言して話題になった。
必要論・不要論飛び交う
また、識者からも不要論と必要論の両方が聞こえてくる。
事業家の堀江貴文氏はかつて自身のTwitterで、「もう新聞なんて10年以上前に読むのやめたわ笑。って思ったら実は刑務所入ってた間は仕方なく読んでたわ笑」とコメント。ちなみに堀江氏は2008年に自身のブログ上で、「新聞とってないので、困るのは(?)家で鍋パーティとかやるときに下に敷く新聞紙がないとか、雨でぬれた靴に入れる新聞紙がないとか。キッチンペーパーでいいんじゃない?」と綴っている。
一方、新聞の必要性を唱える声も。作家の林真理子氏は過去に「日本新聞協会」が行ったインタビューで、「自分がいかに『無知』であるか、若いうちに気づくべきだ。自らの『無知』を知る第一歩が新聞を読むことだ」とコメント。またジャーナリストの池上彰氏は「東洋経済オンライン」で行った作家・佐藤優氏との対談で、「1日5分でも継続して新聞に目を通す習慣を」と呼びかけ。“とれる情報の多さ”に驚くはずと語っている。
ちなみに今回、複数のビジネスパーソンに聞いたところ、次のようなコメントが寄せられた。
「家で日経新聞をとっているけど、読むのは自分の仕事に関係する記事だけ。でも、よく考えてみれば、スマホで十分かも」(大手電機メーカー課長職)
「新聞を読もうという発想すらなかった」(ITベンチャー経営者)
「日経だけ、ざっと目を通す」(保険会社中堅社員)
「一応、読売をとっているけど、読まない」(テレビ局管理職)
「会社の人たちがみんなカバンに入れているから、自分もそうしているけど、ほとんど読まない。専門的な情報がないから、役に立たない」(ノンバンク中堅社員)
「仕事柄必要なので、最低限目を通す」(金融機関マネージャー職)
改めて新聞の存在価値が問われそうだ。
(文=編集部)