安倍政権、水道の次は「ごみ処理」も長期包括契約による民営化の動き…原資は国民の税金
一般ごみは、街の定められた収集場所に出せば、市町村が「収集」し、日本のほとんどの場合、焼却炉のある清掃工場に運ばれ、「焼却」等の「中間処理」が行われ、その残渣である焼却灰は「不燃ごみ」と共に「最終処分場」に運ばれ、埋め立て処分される。このように家庭から出された一般ごみは、「収集」「中間処理」「最終処分」の流れに沿って処理されている。
今回取り上げる柳泉園組合は、3市(東久留米市、西東京市、清瀬市)の一般ごみを焼却する「中間処理」組合であり、3市で収集したごみをこの組合に運び、可燃ごみは焼却し、不燃ごみを破砕、減容化する清掃工場である。このようにいくつかの市町村が共通の目的をもって、自治体が本来行う福祉、教育、建設、清掃などの事業の一部を共同で担う組合を「一部事務組合」という。ごみ処理だけでなく、病院や競馬場、競輪場の設立など目的によって異なった一部事務組合がつくられる。
ごみの中間処理において重要な役割を担う焼却炉は、周辺住民にとってはある意味で迷惑施設といえ、煙突から排出される有害物は規制監視を怠れば、周辺住民に重大な健康影響をもたらす。そのために、その有害物の監視・監督も、住民の声が届く自治体で行われてきたといえる。また、災害などが起こった時には、災害対策に最優先に取り組み、また隣接する自治体が互いに融通して、協力関係の下に処理を行ってきた。
このように、一般ごみの処理は公共性が高く、その意味でも基礎自治体がごみの処理を自ら行い、煙突からの有害物の排出には目を光らせ、ごみの減量化などにも取り組んできた。従って、ごみの処理が民営化された時には、自治体だからこそできた以下のことが、保証されるのかが問われることになる。
・ごみの処理に伴う環境への影響や周辺住民への健康悪化のチェック
・ごみの処理自体を減らし、なくしてゆく資源化リサイクルの取り組み
・災害などの緊急事態への最優先の取り組み
柳泉園組合における「長期包括」委託契約とは
もし民営化されたとき、どのような問題が具体的に考えられるのであろうか。
ごみの処理はこれまでも基礎自治体の職員が行ってきた収集や焼却炉の運転管理で、民間委託が進められてきた。しかし、運営権は自治体が持ち、収集や運転の実務作業を民間委託するというものであった。