安倍政権、水道の次は「ごみ処理」も長期包括契約による民営化の動き…原資は国民の税金
自治体(市町村)が進めるごみの処理
自治体が担ってきたごみ処理が、民営化される問題を考える前に、これまでどのようにごみの処理が進められてきたのかを整理したい。
廃棄物・ごみ問題の解決は、私たちの社会生活にとって欠かすことはできない。モノの生産、流通、そして消費の流れのなかで、必ず各段階で排出されるものがごみである。モノは生産されて商品となり、販売されて消費者に渡り、利活用されて最後に廃棄される。生産から消費までが表の世界だとすれば、排出されるごみの処理はいわば影の世界である。ごみ処理は裏方の出口処理であるが、もし処理が滞ってしまえば、社会生活は破綻する。つまり、その重要性は水道運営と同様に大きい。
市町村によってごみの出し方は異なるものの、指定された日に指定されたごみを所定の場所に出せば、ごみはなくなっているため、市町村が収集したごみがどこで処理されているかを知っている人は少ない。したがって、長期包括契約の民営化が行われた場合、ごみの処理にどのような影響が生じるのか、わからない人も多い。
そこで、民営化がごみの処理事業に適用されれば、どのような影響が出るのかを考えるにあたり、現状のごみ処理が自治体(市町村)の業務としてどのように運営されているかを見たい。
自治体がごみ処理を手がける意義
家庭から廃棄されるごみの処理は、基礎自治体である市町村ごとに処理方式が異なっていて、収集日や分別の方法を示すごみカレンダーは、各市町村ごとに異なるが、共通しているのは、基礎自治体が進める事業だということである。日本の法令(廃棄物処理法)では、家庭から排出されたり、街の八百屋や肉屋など小規模事業者から排出されるごみを、総称して一般廃棄物(「一般ごみ」)といい、大規模事業者の生産過程等から排出される産業廃棄物(「産廃ごみ」)とは区別している。一般ごみは、基礎自治体である市町村が、自ら計画を立て処理することになっている。これに対して産廃ごみは、ごみを出した事業者が自ら処理することになっている。そのため、引っ越しして市町村が変わると、ごみの出し方が変わり、ごみカレンダーを見ながら、一から覚える必要があり、大変だという声は、よく聞かれる。可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみなどを分別する方法が異なり、それぞれのごみを出す曜日も異なってくる。