江川紹子の「事件ウオッチ」第128回

江川紹子が語る「求められる再審法の改正」―再審の実態と、冤罪救済のために必要なこと


 同事件は、第1次請求の鹿児島地裁を入れて、すでに3回も再審開始決定が出されながら、いまだに再審が開かれないままだ。捜査段階から40年もの間、一貫して無実を訴えてきた原口アヤ子さんは、来月92歳になる。

 再審に関するルールを定め、冤罪に苦しむ人たちを早期に救済しようとして結成された「市民の会」では、こうしたさまざまな問題のうち、当面、証拠開示の義務付けと検察官による異議申立の禁止を中心に訴え、超党派の国会議員による議員立法を目指す。

 自身が冤罪に巻き込まれた村木厚子さんは、ビデオメッセージの中で、次のように語った。

「(前回の改正で)通常審は一歩前進したが、再審については放置された。気の遠くなるような年月、再審を訴え、判決を待ち望んでいる人たちがいる。冤罪は、いわれない刑罰を受けるだけでなく、自分の人格とは違う『犯罪者』の烙印を押されて生きることで、亡くなった後もそれを背負うことになる。できるだけ早く、公正な形で裁判のやり直しを行わなければならない」
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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