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財務次官の有力候補、小野総括審議官が逮捕…財務省人事レース大波乱

文=Business Journal編集部
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度重なるスキャンダルに揺れる財務省の公式サイト

「次は官房長、ゆくゆくは事務次官」――。そう目されていた人物の不祥事が、財務省内の出世レースに大きな波乱を巻き起こしそうだ。警視庁玉川署は20日、財務省総括審議官、小野平八郎容疑者(56)を暴行容疑で現行犯逮捕したと発表した。

 発表によると、小野容疑者は20日午前0時半頃、東京都内を走行中の東急田園都市線の電車内で他の乗客を殴った疑いという。複数の報道によると、小野容疑者は酒に酔っており、世田谷区の桜新町駅で下車後、駅員の110番で駆けつけた警察官に身柄を確保された。

森友、次官セクハラ問題などが影落とす財務省人事

 統括審議官とは、財務省の政策を通すため他省庁とのすり合わせを行う立場であり、事務次官、官房長などに次ぐポジションだ。小野容疑者は1989年大蔵省入省の根っからの大蔵・財務官僚で、昨年7月に主税局担当審議官から昇進した。

 財務省では、ここ数年で次々にスキャンダルが発覚した。その結果、省内の昇進レースに大波乱を巻き起こしている。まず、一部週刊誌が2018年に報じた「福田淳一財務事務次官によるテレビ朝日記者に対するセクハラ疑惑」だ。福田氏は週刊誌報道を否定したが、テレビ朝日は同氏のセクハラを事実認定し抗議。福田氏は最終的に「職責を果たすのが困難」として辞職することになった。日本社会に衝撃を与えた森友学園問題もまた財務省が舞台だった。

 一連のスキャンダルの影響を受けたのが、今回逮捕された小野氏と同じ1989年大蔵省入省組で、「事務次官最有力候補」と同省や他官庁から目されていた現・金融庁総括審議官・公文書監理官(兼)の伊藤豊氏だ。

 森友学園問題では、学園への国有地8億円値引き売却をめぐり、安倍晋三元首相が「私や妻が(学校の認可や国有地取引に)関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したことが、その後の公文書改ざんに影響したかどうかが焦点のひとつになっていた。

 一連の改ざんをめぐる財務省の内部調査の責任者が当時財務省秘書課長だった伊藤氏だった。当時週刊誌などの報道でその名前を目にした人も多いはずだ。経済産業省関係者は語る。

「結果的に伊藤氏は福田次官の“事後処理”と森友問題で注目されたことによって、金融庁に行くことになった、というのがよく聞かれる話です。いずれにせよ、ネガティブな話題の渦中にいた人物を、ほとぼりが冷めないまま本省に置き、既定路線通りに昇進させていくというのは無理がある、ということでしょう。その結果、1989年大蔵省入省組の次官レースの有力候補は今回逮捕された小野さんか、宇波弘貴総理秘書官だろうとなっていました。

 一部報道にあるように、小野さんは政府の脱炭素政策を先導していく役割を担っていたので、財務省のみならず政府全体に影響が出る可能性もあります」

もう一人の候補者は総理秘書官に

 宇波氏は入省後、米・マサチューセッツ工科大学経営学大学院に留学。主税局国際租税課、厚生省(当時)児童家庭局などを経て、大臣官房総合政策課長、主計局次長と昇進した。厚生労働省時代に児童虐待防止法などの原案作成に従事した実績もあり、“社会保障分野に明るい”ことから、岸田文雄首相に請われ、昨年10月に総理秘書官に就任した。

 環境省関係者は「宇波さんは事実上の栄転でしたが、総理(岸田氏)がすぐ手放すとも思えないでの、次の(財務省)官房長への昇進は小野さんだろうなと思っていました。しかし、まさか酒に酔って暴力を振るい、逮捕とは……。会議でお見掛けしたり、財務省の知人の話を聞く限り、宇波さんはいわゆる“やり手”、小野さんは“堅実派”というイメージがありました。

 いずれにせよ次の官房長、その先の事務次官人事の混乱があるのは間違いないと思います」

(文=Business Journal編集部)

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