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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(10月21日)

しまむら土下座強要事件、凄まじい鬼女の捜査能力と、ネット上での“私刑”執行への賛否

文=blueprint
しまむら土下座強要事件、凄まじい鬼女の捜査能力と、ネット上での“私刑”執行への賛否の画像1「Thinkstock」より

 10月に入ってからTwitter炎上&逮捕事件が相次ぎ、議論を呼んでいる。特に注目を集めたのは、札幌市内の衣料品チェーン「しまむら」で店員に土下座をさせている写真をTwitterに投稿し、7日に逮捕された介護職員の43歳女性。また同日には、同じくTwitterに金沢市内の「餃子の王将」で全裸になり、カウンターに入るなどした写真を投稿し、炎上していたクラブ経営者の39歳男性が逮捕され、こちらも「いい年をして何をしているのか」と話題になった。

 全裸で店を占拠した王将問題はともかく、人に土下座させる行為はどのような罪にあたるのか。10月4日付弁護士ドットコム記事は、好川久治弁護士の次のような解説を掲載している。

「もし、『土下座をしてお詫びをしろ!』と要求した客が、『そうしなければ、店の悪い評判をネットで流す』、『街宣車を店舗に向かわせる』、『上司や会社に通報する』などと店員を脅迫していた場合には、『強要罪』(刑法223条1項、3年以下の懲役)が成立する可能性があります」

 社会通念上、店側に謝罪すべき点があっても、店員には土下座までする義務はなく、結果的に店員が土下座をしなくても「強要未遂罪」に問われる可能性があるという。さらにTwitterに投稿し、それにより店舗の業務に支障が出れば、「威力による業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)も成立する可能性」も。また店舗の社会的評価を低下させるおそれがある行為のため、「名誉棄損罪(230条1項、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)が成立する可能性」もあるとしている。

 本件が逮捕にまで至った理由について、10月7日付MSN産経ニュース記事にコメントを寄せた甲南大学法科大学院教授、園田寿弁護士は、「ネットで事が大きくなり、警察としても、立件せざるを得なかったのだろう」と分析している。「強要罪、威力業務妨害罪など、いずれも微罪といえる。土下座強要の問題では、義憤に燃えたネットユーザーによる犯人捜しが始まり、行きすぎた追及があった。処罰によって、国民の応報感情を抑え、事態を沈静化する狙いもあったのではないか」とのことだ。

“晒しあげ”は行きすぎた追求か?

 この「行きすぎた追及」だが、ネット界隈で話題に上ることが多いのが、掲示板サイト・2ちゃんねる上にある既婚女性板の住人、通称「鬼女」だ。10月9日付東スポwebにコメントを寄せたITジャーナリスト・井上トシユキ氏は、「結婚して子供もいて、ある程度の社会常識もわきまえている。2000年代初めのころから、鬼女は不倫告白をしたOLのブログや、犯罪自慢をする非常識な人物の書き込みを見つけては、さらし者にしてきました」とまとめている。

 子育てが一段落し、時間的余裕がある人が少なくないこともあってか、その“捜査能力”は凄まじいものがある。Twitterやmixiに社会通念上、不適切な内容の書き込みがあれば、過去の投稿を徹底的に調べ上げ、写真のわずかなヒントから居住地を特定することも珍しくない。「1回火がついたら納得するまでやめず、余罪の追及も容赦しないのが鬼女の特徴」(井上氏)で、ネットによる“私刑”の執行役として恐れられている。今回の土下座強要問題でも、警察が動く以前に容疑者の顔や実名、住所まで特定されており、2ちゃんねる上では「鬼女素直にすげーわ GJ! 皆で探偵事務所立ち上げれば成功するんじゃね?」などの書き込みも見られた。

 もちろん、土下座をさせた客本人に落ち度はあるとしても、こうした“晒しあげ”(2ちゃんねる上で恥ずかしい書き込みや痛いレスを周囲に晒すために、わざわざスレッドを上げる行為を指すネット用語)を「やりすぎ」と見る向きもある。10月8日付日刊ナックルズ記事で、インタビュアー・コラムニストの吉田豪氏は、

「Twitterで拡散&炎上した連中が次々と逮捕。犯罪行為なり非常識だったり非人道的だったりすることをTwitter上でつぶやこうものなら、すぐに拡散されてネットで叩かれ、さらには逮捕までされるサーチ&デストロイな時代がやってきました!」

「『それでも僕はだましたり、モノを盗んだりしてきた』と歌った真島昌利も、楽器は万引きで揃えていたセックス・ピストルズのスティーブ・ジョーンズも、いまの時代なら即謝罪に追い込まれてたのかもなあ……。ギザメンドクサス!」

とコメント。犯罪も犯罪自慢も許される行為ではないが、“ネットによる私刑”が広がることに息苦しさを感じている人がいるのも事実のようだ。
(文=blueprint)

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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