知人女性へのセクハラ行為を週刊誌に指摘された熊野正士参議院議員(57)=公明党比例代表=について、公明党は7日、Twitter公式アカウント上で、以下のような公式見解を発表。事実であれば「党として議員辞職を求める」とした。
<ネット報道に対するコメント>
— 公明党 (@komei_koho) September 7, 2022
わが党所属国会議員へのネット報道に対して、党本部としてコメントを発表しました。 pic.twitter.com/30xTu2P1CH
<わが党の所属議員が、昨日、ネットに掲載された週刊誌報道により、ご心配をおかけしていることについては、大変遺憾であり、党員・支持者をはじめ、国民の皆さんに深くお詫びを申し上げます。
週刊誌の報道にある熊野議員と当該女性とのLINEによるやりとりは、山口代表も北側副代表も、この週刊誌報道ではじめて知りました。
現在、熊野議員は入院中であり、報道された内容について本人に確認ができない状況でありますが、仮に事実であれば言語道断であり、公明党議員としてあるまじき行為です。
今後、本人に報道された内容について確認し、そのような事実があれば、党として議員辞職を求めてまいります。
なお、熊野議員は本件に関連し、入院前に弁護士を依頼しています。
同議員の代理人弁護士によると、
・当該女性が主張することは、余りにも一方的で、事実経過と明らかに異なる。
・当該女性は、熊野議員に対し、妻と離婚することを執拗に強要しており、最近では期限を付して離婚するよう強く迫って、応じなければ週刊誌に情報を提供するなどと脅し、熊野議員は精神的にも極度に追い詰められていた。その結果、医師の判断により、入院・面会謝絶となった。
との事であります。
また熊野議員の妻も、別の弁護士を依頼しており、当該女性への法的措置をとると聞いています>(原文ママ)
下着の色を聞く、性行為を夢想するLINE
熊野氏は2016年の参院選で初当選。20年9月に菅義偉内閣で農林水産政務官を務め、7月の参議院議員選に比例代表として立候補。約27万票を獲得し当選した。なお、比例名簿での得票数順位は4位で最下位(5位)当選だった上田勇氏との票差は1万票弱の僅差だった。現在は党厚生労働部会長代理の職にある。
セクハラ問題は「デイリー新潮」(新潮社)が『公明党・熊野正士議員の性加害が発覚 被害女性が明かす、身の毛もよだつ「セクハラLINE」の内容とは』、「文春オンライン」(文藝春秋)が『「今日の下着の色は?」公明党・熊野正士参院議員のセクハラを被害女性が告発〈LINE入手〉』と6日、それぞれ報道した。報道では、熊野氏が知人女性の臀部に触れた疑惑が指摘されているほか、付きまとい行為や、女性に送信したLINEの「口に出すのも憚られるメッセージ」(文春オンライン)などが公開されている。
党中枢は本当にトラブルを知らなかったのか
報道のセクハラ行為が事実かどうかは極めて重要な問題だ。報道されているよう「LINEの文面を女性に送りつけていた」という事実だけで、責任と見識を問われてしかるべきだろう。一方で、党中枢が熊野氏の問題をいつ察知したのかもまた一つの焦点だろう。
ここで記事冒頭の公明党の公式見解を再度以下に引用する。
「週刊誌の報道にある熊野議員と当該女性とのLINEによるやりとりは、山口代表も北側副代表も、この週刊誌報道ではじめて知りました」
山口那津男代表、北側一雄副代表らは「LINEによるやりとりは」「この週刊誌報道ではじめて知りました」と読むことができる。つまり「女性と熊野氏の間にトラブルが発生していることそのもの」に関し、いつ認知したのかは明確に述べられていないように読めるのだが……。
党中枢はいつ熊野氏を取り巻くトラブルを察知したのか。デイリー新潮は「たえかねた恵子さん(編集部注:被害女性の仮名)は卑猥な電話などについて、公明党の上層部に訴え出たが、山口那津男代表らは熊野議員を処分することはなかった。そこで今回の告発に至ったというわけだ」と述べる。
また文春オンラインは「今回、被害女性のA子さんは、この件を北側一雄副代表に訴えており、公明党中枢は遅くとも5月には熊野氏のトラブルを把握していた。しかし公明党はそのまま公認候補として出馬させ、熊野氏は再選を果たした。今後の公明党の説明が注目される」と指摘している。
セクハラ行為の真偽は入院中の熊野氏に確認が取れ次第、解明されていくだろう。一方で、「党中枢が、真偽不明とは言え、“離婚を迫られる”といった女性トラブルを抱えた人物を、党の顔ともいうべき比例代表候補として参議院選挙に立候補させたこと」もまた問題ではないのか。
同党の支持母体である創価学会員の八王子市在住の20代女性は以下のように怒りをにじませる。
「私は熊野さんに投票してしまいました。そんな候補者に入れてしまった自分自身に激しい嫌悪感を抱きますし、そんな人物が党公認で立候補していたことに言いようのない怒りが湧いてきます」
公明党所属の関東地方の女性地方議会議員は「もし山口代表や北側副代表の耳に、熊野議員の女性トラブルの情報が入っていたのに、なにもせずそのまま参院選に立候補させたたのなら、私が投票を呼びかけた皆さんに申し訳が立ちません。党代表選に影響も出かねない話ではないでしょうか」と語った。公明党の代表選挙は15日に告示される予定だ。
(文=Business Journal編集部)