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なぜ彼女は慶應女子高に合格できた?超難関校に受かる子に共通の思考と行動様式

文=A4studio
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慶應義塾女子高等学校のHPより

 昨年9月、あるTwitterユーザーが呟いたツイートが15.3万「いいね」を獲得するなど大きな注目を集めた。そのツイートの写真は、超難関校である慶應義塾女子高等学校市川高等学校に合格したという、進学塾のパンフレットと思われるものに掲載された女子中学生の以下コメントを写したもの。

「インスタ、ライン、ツイッター、それらをすべて消したとき、スマホはただの板になる。そうして君は無敵になる。SNSほど無駄なものはない。承認欲求を満たすのは、受かってからのお楽しみ。」

 圧倒的な自制心を感じさせるこの一言に、SNS上では共感が集まった一方で、己の自堕落なSNSの使い方を反省するコメントも多かった。10代にとっては難しいと思われる「SNS断ち」を、この女子中学生はなぜ行えたのだろうか。

 そこで今回は、難関中学・高校受験対策に詳しい学習塾「GS進学教室」の代表・後藤高浩氏に、難関校を目指す学生たちに共通する思考を聞いた。

「偏差値では測れない」超難関校・慶應義塾女子高等学校の狭き門とは?

 まず、今回話題となった慶應義塾女子高等学校がどれほど狭き門なのか。

「日本の女子高で一番難しい高校であることはまず間違いないと思います。毎年定員は100名で、推薦で20名、ペーパーテストで80名を採るのですが、これは他の高校と比べると相当少ない人数です。この少ない募集人数に対し、毎年450人から500人が受験しています。

 定員より合格を少し多めに出すので、実質倍率でいうと4倍程度です。この数値だけ見るとそこまで高くはないように思えるかもしれませんが、数ある難関校のなかでもトップの学校ですから、“ダメ元受験”をする生徒がほとんどいないのです。要するに秀才中の秀才が受験して4人に1人しか受からない、ということです。単純に倍率だけでは計れないといっていいでしょう」(後藤氏)

 その偏差値はどれほどの高さなのだろう。

「首都圏の標準偏差値で見ると、慶應義塾女子は偏差値70台とされていますが、そのレベルの偏差値は合格の最低条件であり、その生徒たちの中で勝ち抜くために、相当な勉強を重ねていかなければ合格は勝ち取れない高校とされています」(同)

勉強をやらされているとは思わない…秀才学生たちに共通する人間力の高さ

 それほどの難関校に受かるため、学生たちはどれだけの勉強をしているのだろう。

「正直なところ『これぐらいの勉強量』と単純にはお答えできない勉強量です。勉強を『時間のノルマ』で捉えるレベルの先にいないと受からない世界なので、あまり時間の指標は意味を成しません。ただ、あえて時間を目安に言うのであれば、学校の通常授業が終わった後に、塾の授業も含めて4時間から5時間の勉強。土日は最低でも8時間。夏休みや冬休みの夏期講習、冬期講習では1日12時間以上勉強。これが最低ラインといったところでしょうか」(同)

 後藤氏は、そんな超難関校を目指す学生たちに共通する傾向があるという。

「超難関校を目指す受験生はみな、勉強に対して『量より質』で考える傾向があると思います。どれだけ勉強内容が定着しているか、それが模試や過去問でどれくらい結果として現れているか。こうしたことを日々測りつつ、切磋琢磨している印象がありますね。

『勉強をやらされている』という意識の子はいないと言っても過言ではないでしょう。勉強は楽しんで夢中になってやるもの、ある意味、RPGゲームにおけるキャラクターのレベル上げのように、毎日の勉強を捉えているのかもしれませんね。そういう子でないとまず受かりません。

 また往々にして家庭不和がほとんどないというのも共通する気がします。家族仲が良く、精神的に安定した大人っぽい子がほとんどで、過去には両親と一緒に勉強しているなんて子もいました」(同)

 そんな超難関校を目指す生徒たちの1人として、今回話題になった女子中学生はスマホやSNSを断つという選択をしたことで話題を集めた。そもそもスマホやSNSは受験生にとって害があるものなのだろうか。

「前提として、私は『受験生にとってスマホは勉強の邪魔をする悪だ』と紋切り型の考えは持っておらず、場合によっては非常に有用な存在だと捉えています。ですが、多感な時期を過ごす学生のなかには、『コメントを素早く返さないと嫌われてしまう!』などと、LINEやSNSなどでのコミュニケーションの構築に翻弄され、受験がうまくいかなくなってしまう受験生が多いというのは、残念ながら事実です。そのため、スマホを強制的に解約したり、ご両親に頼まれて塾でスマホを預かったりするような場面も少なくありません」(同)

 では話題となった女子生徒のように、超難関校を目指す生徒たちに共通する、スマホやSNSに勉強を翻弄されない『自制のコツ』のようなものはあるのだろうか。

「SNS断ちをするコツですが、結論として特段どの学生も持ってはいないでしょう。しかし、難関校を目指している子たちには、『すぐに壊れやすいコミュニケーションをSNS上で構築するのは別に今じゃなくていい』と考えるのかもしれません。もっと言えば『別に心は繋がっているので今友だちと連絡を取らなくてもいい』というように達観していて、無駄なコミュニケーションをしない潔さがあると感じます。一言でいうなら、非常に大人っぽい友人関係を若いうちから持っているのでしょう」(同)

目的のために必要ないことを捨てられる決断力、大人も学ぶべき強固な意志

 近年は多くの大人が「SNS疲れ」に陥っているともいわれるが、超難関校を目指す生徒から大人が学ぶべき要素もあるという。

「超難関校を受ける子たちは、みな達成したい目標にとって『マイナスになってしまうもの』をきちんと見分けられるスキルを持っています。目的意識を持った行動は自然と無駄を削いでくれるので、自分にとってなにが大切か改めて考えてみるのもいいかもしれないですね」(同)

 超難関校を目指す学生に共通しているのは、明確な目的意識とそれを完遂する情熱なのかもしれない。学ぶべき要素があるとハッとさせられた大人が多かったからこそ、SNS上でこれほどの反響を呼んだのではないだろうか。

(文=A4studio)

A4studio

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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