SNS上でのウケを狙っての行動なのか、近年、迷惑行為を映した動画がネット上で反乱している。その一部では、単なる“迷惑”にとどまらず、明らかな違法・犯罪行為も見受けられる。被害を受けた人や企業が、刑事告発したり損害賠償請求するケースも増えている。
そんななか、また新たに発生した迷惑行為がSNS上で話題になっている。
東京ディズニーランド内で、子連れの女性客が花壇から花を引きちぎる様子が目撃され、その様子を目撃した別の客が撮影してネット上に投稿しているのだ。この目撃者によると、花を抜いたのは成人女性2人と幼い少女の3人組客。チューリップをちぎると、少女を花壇の前に立たせてチューリップを掲げて撮影し、その後はチューリップを花壇に捨てて立ち去ったという。
この投稿は瞬く間にネット上で拡散され、花を引きちぎった女性客に対して
「自分勝手すぎる」
「自分の承認欲求を満たすために他人に迷惑をかけていることに気付かないのか」
「こんな倫理観のない人物が子どもを育てるのは害悪でしかない」
「映え写真を撮るために植物の命を奪うことが許されちゃいけない」
など、批判の声が殺到した。
ディズニーランドにおける花壇の花は、野原に生えている花とは異なり、スタッフにより手間暇をかけて育てられた“作品”である。それを引きちぎる行為は、違法とはならないのだろうか。運営会社であるオリエンタルランドは、こうした行為について「他のお客様のご迷惑になる行為になり、パークや関連施設の営業や運営の妨げになる行為になりますので、ご遠慮いただきたい」と温和なコメントを出しており、法的措置を取る姿勢は見せていない。
だが、仮に被害届等を出した場合、どのような罪に問われ、どのような処罰を受ける可能性があるのだろうか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は、次のように説明する。
「器物損壊罪(3年以下の懲役は30万円以下の罰金など)が成立します。とはいえ、被害が僅少なので立件(逮捕や起訴)はされないでしょう。なお、この『花』が欲しくて“持っていく”なら窃盗罪も考えられますが、このケースではそれもないでしょう」
日本には古来、「花泥棒は罪にならない」などといった言葉があるが、ディズニーランドにおいて来園客を楽しませる目的で植えられた花を無残に引きちぎる行為は、罰せられないとしても、それ以前に、人としての心やモラルが欠如していると言わざるを得ない。
ちなみに、チューリップの花言葉は「思いやり」「博愛」である。
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)