但し、私の提案する方法は、内閣府の「平成25年版少子化社会対策白書」には1行も記載されておらず、また今後も絶対に記載できないような、前衛的で過激な方法を考えています。一種のテロリズムと思っていただいて結構です。この記事を読まれる多くの方が、圧倒的な嫌悪感を持たれることは承知の上で、これから数回述べさせていただきます。
●「結婚システム」の特性
今回は、図2に示すように、「(A)独身優位」と「(F)離婚」の問題点を可視化することを目的とし、未婚者の皆さんが怯えている「結婚システム」の特性を客観的に明らかにしたいと思います。
前回、独身のままでいれば、配偶者の両親に関する面倒くさい問題(同居、介護等)を全部スルーできる上に、自分の価値観だけで生きていけるという自由があり、病気や老後の心配は、子どもに投資する金額を考えれば、十分担保できる、という理由から、「独身」は最適戦略である、というお話をしました。
一方、未婚者の9割が結婚を望んでおり、「結婚したいけど、結婚したくない」という矛盾をはらんでいることもお話ししました。
未婚者は、難しい立場にあります。彼/彼女らは、結婚していない状態で、結婚の成否を判断しなければならず、参考にできる身近な事例が少なく、その上、結婚を判断するパラメータは多すぎます。決定的なことは、結婚はひとりではできないということです。自分ではコントロールできず、何を考えているかわからない「配偶者」と一生を過ごさなければならないのです。
結婚の幸福/不幸の議論の応酬は、必ず不毛な結果で終了します。主観と思い込みの話になってしまうからです。もし客観性を担保したいのであれば、1回の人生で、10~20回程度の結婚を行う必要があるでしょうが、普通の人なら3回が上限でしょう。しかし3回も結婚する人はかなりのレアケースで、サンプルとして採用できないという矛盾を抱えています。
そこで今回は、主観や思い込みを排除するため、データと計算のみを用いた「結婚の“幸せ”と“不幸せ”の数値化」を試みます。
●結婚による“幸せ”と“不幸せ”をどのように測るか
この数値化の検討に入るに際しては、以下の2つの資料を参考にしました。
1つが、「女性の幸せに関する意識調査」です。この資料の母集団は1700人以上で、女性の結婚による幸せを10点満点で評価した結果が記載されている、非常に貴重なデータでした。
「10段階で評価しているなら、5点以下は、離婚には至らないまでも、結婚には不満がある女性のことと見てよいのだろう」と判断し、平成23年度のデータから導いた離婚の確率と、この資料の5点以下の点数を付けた人の比率を正規分布関数に当てはめてみたら、5点と6点の境目ドンピシャに「標準偏差0」、つまり平均値がくることがわかり、かなり驚きました。これにより、「もしかしたら、正規分布関数を使って、数値化できるかもしれない」との考えが浮かびました。
自然界の多くの事象は、平均値を中心にたくさん現れて、平均値から離れるにしたがって、その数が減っていきます。この事象の発生確率を表す関数が、正規分布関数です。
人間の集団では、身長、体重、大学入試センター試験の結果などは正規分布関数に乗りますが、年収などは乗りません。まして、結婚による“幸せ”が、正規分布関数に乗るか否かは不明です。
しかし、今回はこれを強行してみます。