この結果は「標準偏差“-0.37(シグマ)”」に相当するのですが、私たちに馴染みのある「偏差値46.3」という言い方にします。皆さんが、高校や大学入試の時に、学校や予備校から渡された模擬試験の合否判定予測の通知表を思い出してください。
離婚率35.6%は、結構大きい値のように感じます。1970年度から40年かけて約2倍になっています。70年の離婚率を偏差値にすると43.3くらいですので、この40年間で「離婚に対する自由が、偏差値として3.0上がった」というポジティブな言い方もできます。
さて、この正規分布関数から“幸せ”と“不幸せ”を算出するに際しては、前述の2つのデータを用います。図4と図5に、それぞれのデータの概要を示します。
●“不幸せ”の数値化
では、最初に“不幸せ”の数値化です。
これは離婚申し立ての頻度の高い項目から、その発生確率を正規分布表をにらみながら、正規分布関数にはめ込んでいきました。この結果を図6に示します。
まず注意していただきたいことは、偏差値の低いほうが、より“不幸せ”という読み方をしてはならないということです。例えば、「私の旦那は浪費家(36.0)だから、DV(39.3)を受けているあなたより私のほうが不幸だわ」という使い方は明らかな誤用です。ご留意ください。
これは、どのような種類の“不幸せ”が、どの程度起こりやすいか、を見るものです。それぞれの“不幸せ”の内容は、概ね等間隔の分散をしており、直感的にはわかりやすい数値になっていると思います。
このグラフから読み取れることは、離婚理由というのは、ドラマで登場する「DV」や「嫁・姑問題」などよりも、圧倒的に「性格不一致」という理由が多いということです。ドラマの内容を疑問なく、そのまま真に受けて結婚を躊躇している人がいるとしたら、それは考え直したほうがよいかもしれません。
また、性格不一致などは、夫婦の努力(偏差値を44.0→46.3と、わずか2.3上げる努力)によって離婚に至らずに済む可能性が示唆されますが、「DV」「浮気」「家庭を顧みない」という問題では、その可能性が格段に低くなり、「嫁・姑問題」「酒乱」に至っては「努力するだけ無駄」という結論が導き出せます。これらの結果は、私たちの感覚と合っているように思えます。