それは、「結婚システム」を起動する前に、“不幸せ”の要因を早期に発見するように動き出せばよいのです。そのひとつの手段は、できるだけ若い時期からの同棲生活です。
「相手の人となりを知るには、1週間も一緒に旅をすればよい」とは、昔からよく言われることです。同棲という共同生活によって、見えてくることはたくさんあります。図6に示した“不幸せ”の項目の多くを事前にチェックできるはずです。
双方が受け入れられないことがあれば、同棲を終了させればよいのです。問題がなければ、そのまま事実婚として生活を続けていけばよいし、制度上のメリットを得たい時に、結婚届を出してもよいのです(このあたりについては、図1「(B)形式婚」のところで、別の機会に説明させていただきます)。
また、罪悪感を抱くことなく、世間体を気にすることもなく、何度でも離婚や再婚に踏み切れるマインドをつくることも大切だと思います。少なくとも「運」による離婚の確率は、再婚を繰り返すことによって格段に下がっていきます。何度も離婚と再婚を繰り返す芸能人こそが、私たちの目指すべき理想像なのかもしれません。但し、離婚の原因が「運」ではなく「本人の資質」によるものでしたら、何度離婚を繰り返しても離婚の確率は下がりませんが(参考:『最高回数は7回! 有名人、結婚回数ランキング』)
●まとめ
では、本日の内容をまとめます。
(1)「出産させないシステム」は、6つの要素から構成される非常に堅固なシステムであり、このシステムを一気に破壊するのは容易ではないと考えられる。私は今後、時間をかけて「出産させないシステム」の「破壊工作」の検討を続けたい。
(2)「結婚システム」は、“幸せ”と“不幸せ”いずれの方向にも拡大・発展させるシステムであり、かつ、そのコントロールは事実上「運」によって支配されるケースが多いと考えられる。
(3)一方、「結婚システム」の「“幸せ”生産能力」は、他のシステムと比較にならないほど高いが、その事実はほとんど知られていない。それは、我が国において“幸せ”であることを表明することが、リスクを伴う行為であるためと考えられる。
最後に。
私がマリッジブルーの時(男性でもマリッジブルーになるのです)、「結婚はパラダイスだ」と言い切ってくれたのは、かつての上司ただ一人でした。
「江端君、君は何を言っているのだ。結婚が君を“不幸せ”にするわけがなかろうが。結婚というのは、君の人生にバラエティ(多様性)を与えてくれて、そのような変化の中にこそ……」と、滔々と説教してくれた、そういう大人が今の世の中には少なすぎるのではないか、と思う次第です。
(文=江端智一)
なお、図、表、グラフを含んだ完全版は、こちら(http://biz-journal.jp/2013/11/post_3470.html)から、ご覧いただけます。
※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナー(http://www.kobore.net/kekkon.html)へお寄せください。