との掛け声のもと、橋下徹大阪市長肝いりの施策、同市公募区長選考が終了。6月21日、最終合格者である24新区長の顔ぶれが発表された。
彼ら新区長は、民間からの登用が18名、職員からの登用が6名と、大方の予想通り、民間からの登用者が多数を占めたものだった。しかし、見方を変えれば、実に4分の1は市職員である。
政治主導を推し進める橋下市長のわりには、市職員からの登用が多く、橋下市長を支持する選挙民の中には、どこか物足りなさを感じた人も少なくはないだろう。
事実、市職員の中でも、今回の人事は「24区長全員を外部からの登用者で固めるものと思っていた」(大阪市職員)という声があったように、意外感をもって迎えられたようだ。しかし数人の市職員に話を聞くと、異口同音に次のように話す。
「6名の職員出身の新区長のつく区長ポストと人となりを見れば、『合区【編註:区と区の合併】』シフトであることは明白」
「大阪都構想」を掲げ、橋下市長が推し進める大阪府・大阪市の合併は、行政のスリム化、スピーディ化を目指したものだ。
まずはそのモデルケースとして、橋下市長のお膝元である大阪市において、市内各区を合併(合区)、大阪市行政のスリム化を図ろうという意図が、今回の新区長人事から透けて見えるという。
そんな大阪市の現状について、現役の市職員はどのように見ているのだろうか?
そこで今回、3人の職員に、日頃のうっぷんを晴らすべく、大いに語ってもらった。
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市職員出身区長は”捨て駒”
――今回の公募区長人事について、区の合併を目的とした「合区」シフトであることは明白だと、皆さんの同僚からお伺いしています。やはり皆さんも、そう思われますか?
Aさん(以下、A) 今回、職員から区長ポストに就いた地区は、港、大正、東淀川、生野、住之江、平野の6区。これらの区は、橋下市長が推し進める行政のスリム化を目指し、合区を目指しているとされるところばかり。合区が実現すれば職員出身の区長は”用済み”なので、市長はあえて職員を登用したのだろうというのは、職員なら誰でもわかる。
Bさん(以下、B) 特に淀川区長から東淀川区長に横滑りした金谷一郎区長の人事を見ると、市長の職員への姿勢がよくわかる。東淀川区は合区対象であると同時に、いわゆる同和地区も抱えており、市営住宅も多い。簡単に言えば「ややこしい地域」の区長には、職員を充てているとの印象が強い。