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北電は、例外規定を利用して、すでに買取拒否を発動

ソフトバンクの落とし穴?再生エネ全量買取で東電原発の復活も

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 現在の日本では、例えば関東地方なら、「電力会社A」の東京電力にしか買い取ってもらえない。将来、発電と送電の「上下分離」が行われても、送電が地域独占である限りは同じである。それが、電力の自由化で送電事業への新規参入が認められて、同じ地域に「電力会社C」を設立してもよくなれば解決するかといえば、話は単純にはいかない。

 電力供給のネットワークを一から構築するのは容易ではなく、まず「パワー(電力)・ツー・ザ・ホーム」のネットワークに莫大な投資をしなければならない。それでも、企業や一般家庭まで電線を通せるインフラを、すでに持っている企業なら比較的参入しやすい。例えば、NTT、都市ガス会社、上下水道網を持つ自治体、ケーブルテレビなどである。

新規参入の電力会社に、全量買取のコストなど負担できるのか?

 だが、送電専門の「電力会社C」が事業を始められたとしても、義務づけられる再生可能エネルギーの全量買取のコストを負担できるかといえば、また別問題だ。

 市町村単位になる自治体やケーブルテレビでは、規模が小さすぎてまず無理だろう。大都市圏広域の都市ガス、全国を半分に分ける東西のNTTなら、経営規模が大きくなるので負担できる可能性はありそうだ。しかし、電力の取引市場で火力の発電単価10円以下の安い電力を買おうと思えば買えるのを差し置いて、不安定な太陽光の電気を20年間、42円の固定価格で優先的に買わされて、はたして経営が成り立ち、莫大な投資を償却できるだろうか。

「メガソーラーを守って育てる」という大義名分を押しつけると、初期投資が非常に大きい分、赤字を垂れ流すことになりかねない。規制緩和が行われても、大方は償却済みの既存の送電ネットワークを使える「電力会社A」と同じことを、新興の「電力会社C」に求めるのは、酷なのである。電気料金に上乗せされる「賦課金」の分配を、費用負担調整機関が調整してより多く受けられるようにしたとしても、だ。

 42円という買取額が決定した時、メガソーラー参入企業は「高い」「ありがたい」と喜んだが、その42円が高すぎて電力自由化の足かせになってしまうのである。

 送電事業が自由化されても、再生可能エネルギーの全量買取を義務づける制度の存在が大きな参入障壁になって、参入企業がまったく現れず、結局、現在の大手10電力独占体制がそのままずっと維持され、メガソーラー事業者は買取拒否に脅かされ続けるというシナリオも考えられる。

 これまた、皮肉な話である。
(寺尾淳=フィナンシャル・プランナー)

BusinessJournal編集部

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