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婦人はなぜ、こんなに簡単に多額のオレオレ詐欺の被害にあってしまったのか? 実は、最初の電話の際に、夫人のほかにも娘が電話に出ており、電話の相手が息子本人だと判断している。息子が長野の病院に勤務していること、家族構成など、被害者に関連する情報を細部まで調べ上げ、母親と兄妹が電話で会話をしても、息子本人だと判断してしまうほど巧妙さで詐欺が実行されている。
その手口も巧妙だ。医者という職業にとって他人に口外できない“医療ミス”を詐欺の材料として使い、現金の振込先を、まずは病院を指定して、夫人を信用させている。おそらく犯人は、病院への振り込みが簡単にできないことを知っていたのであろう。その上で、息子本人に振り込むように仕向けている。
振込先はすべてゆうちょ銀行の口座。ゆうちょ銀行への振り込みは、「ゆうちょ銀行123支店」といったように、郵便局名の表記がなく、口座がどの郵便局に作られたものなのかは、すぐには分からない。
さらに、2回目以降の振り込みからは、振込先がその度ごとに変わっている。そのために犯人は、「弁護士費用の支払い」など、さまざまな理由を付けているのだ。
息子本人と簡単に連絡が取れないように、携帯電話も盗難に遭っていることにして、さらに病院関係者が仕事ではPHSを使っているという知識を持った上で、PHSの電話番号を教えているなど、これまでのオレオレ詐欺のように、行き当たりばったりの単純さではなく、詳細な家族情報をベースに緻密なシナリオの下で詐欺が実行されている。その賢さには舌を巻くばかりだ。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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