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EMの活動は環境問題と密接に関係しており、その目指しているものは、一見して非の打ちどころがないように思える。だが、どんなに目的が崇高であったとしても、比嘉氏の主張する理論が大多数の科学者に受け入れられていないことは事実である。
科学的な根拠のない行動は、正しい結果を招くことはない。しかし、それを信じる人が「やってみたけど効果がなかった」というだけならば、まだいい。
これまでにもEMの活動にはたくさんのボランティア団体がかかわってきた。さらに、EMによる除染を行うことを目的としたボランティア団体に対し、公益信託の基金から助成金が支出されたケースもある。つまり、科学的に数多くの疑念が寄せられている活動に対し、ボランティアの労力や公的な資金がすでに流れ込んでいるのだ。ましてや、こうした活動にかかわっていた議員が環境大臣政務官になっているとなれば、事態はますます深刻だ。
衆議院環境委員会の場で高橋議員は、「個人的見解とは別」とした上で、「環境省としては(EMが放射性物質を除去するという)データは承知していない」と返答した。環境省はEMの科学的データを肯定していない一方で、科学的な知見と考えを異にする議員が環境行政を左右する立場にいるという事実は変わらない。
さらにいえば、EM推進派とされる議員は自民党に限らず、今回の質問をした大熊議員が所属する維新の党も含め、与野党いずれにもいると見られている。一見文句のつけようのない理念を掲げることで、政治的なスタンスに関係なく、広く受け入れられているのだろう。だが、影響力を持つ政治家には、ある程度の科学リテラシーを備えてもらいたい。
(文=六本木博之/フリーライター)
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