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放射性物質除去に使用広まるEM、科学的根拠に疑問の声続出でも、公的資金投入の恐れ?

文=六本木博之/フリーライター
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放射性物質除去に使用広まるEM、科学的根拠に疑問の声続出でも、公的資金投入の恐れ?の画像1衆議院環境委員会で答弁する高橋議員(「衆議院インターネット審議中継」より)
 東日本大震災から3年半がたち、被災地も徐々に復興への道を歩き始めているが、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって生じた放射性物質汚染の問題は、一朝一夕には解決できない。

 除染作業は基本的に、表面を洗い流す、表土や堆積物を取り除く、農地などは深く耕したり汚染されていない下層の土壌で上層を覆う、などの方法がとられる。しかし、こうした作業は人手がかかる上、山間部では地形によって作業の難しい場所もあり、課題はまだ山積している。

 ところが、ある微生物資材を土壌にまくだけで「放射性物質が除去できる」と主張する人たちがいる。現在、環境大臣政務官を務める高橋比奈子・衆議院議員(自由民主党)も、そうした主張を繰り返してきた一人だ。

●EMで除染できれば中間貯蔵施設も不要?

 その高橋議員の発言に対して疑問の声が上がった。今年10月31日の衆議院環境委員会で、大熊利昭・衆議院議員(維新の党)がその真意を問いただしている。

 高橋議員は、衆議院議員に当選する前の2012年7月、かわさきFMで放送された番組において、EMと呼ばれる微生物資材を散布した岩手県内の施設では、土壌から放射性物質が検出されても、作物からは出てこないといった趣旨の発言をしている。高橋議員は以前から、このEM技術の普及を目的としたNPO法人、地球環境・共生ネットワーク(U-net)の運営委員などを務めていた。また、出演した番組も同法人をはじめ、EM関連団体が提供する番組である。大熊議員の質問は、このときのものを指していると見られる。

 EMとは、土壌改良を目的として1982年に琉球大学農学部教授の比嘉照夫氏(現・名誉教授、名桜大学付属国際EM技術センター長)が開発した「有用微生物群(Effective Microorganisms)」で、乳酸菌や酵母、光合成細菌を主体とした微生物の集合体とされる。現在はEM研究機構が各種製品を製造しており、一般には「EM菌」の通称で知られている。生ゴミの堆肥発酵を促進する資材としてよく利用されているが、最近では河川や海の水質も浄化できるとして、EM団子なるものを川に投入するイベントがしばしば行われている。しかし、水質浄化の効果については多くの専門家から疑問の声が上がっている(参照:当サイト記事『泥のEM団子は環境を汚染するゴミ? 海や川の水質浄化、生態系復元のウソ』)。

 EMの開発者である比嘉氏は、デジタルニューディール(DND)研究所のHPに掲載されている『甦れ!食と健康と地球環境』という連載記事で、たびたびEMが放射性物質を除去すると主張している。

『いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話』 東京電力福島第一原子力発電所事故から3年経った今こそ、落ち着いて考えるために知っておきたい22の話をやさしく解説します amazon_associate_logo.jpg

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