戦後25回の解散(任期満了を含む)があるが、11月解散3回(1972年、83年、2012年)、12月解散5回(45年、48年、66年、67年、76年)と、11・12月は他の月に比べて解散が多い。12月は最多月で、次いで11月が続く。
今最も可能性が高いといわれているのは、11月19日解散・12月16日総選挙説だ。また、11月26日の党首討論で安倍晋三首相が解散を宣言し、12月21日総選挙という説もある。このほかにも今国会を若干延長し、12月上旬解散、12月28日総選挙とするなど、年内総選挙のパターンは数多く考えられ、1月中旬総選挙もあり得る。
安倍晋三首相は11日の記者会見(中国・北京)で、衆院解散について「私はなんら決めていない。国内で臆測に基づく報道があるが、私自身、解散について言及したことは一度もない」と発言。しかし、この言葉を真に受ける向きは少なく、自民党と連立与党を組む公明党の山口那津男代表は同日、年内の衆院解散・総選挙に向け準備に着手するよう党内に指示。民主党含めた野党も選挙準備に着手した。新聞やテレビも一斉に年内解散・総選挙ムードに傾き、NHKは「首相 解散排除せず政権運営を総合的に検討」と報じている。解散への動きは加速する様相を呈しており、想定されうる最も早いスケジュールである11月19日解散・12月16日総選挙が有力とみられている。
周知のとおり、消費税率を来年10月に8%から10%に引き上げるということは、法律上すでに決まっている。12年8月に民主、自民、公明の3党合意に基づいて成立した消費税増税法は、5%だった消費税率を今年4月に8%、来年10月には10%へ引き上げることを規定している。この法律の規定をひっくり返すには、新たな法律を制定するか、消費税増税法の改正法案を成立させる必要がある。これには政治の力業が必要だが、現職国会議員の大半はかつて同案に賛成しているため、彼らを翻意させるのは容易ではない。
そこで安倍政権の中から、消費再増税の是非を国民に問うために解散・総選挙をしようという動きが出てきているわけだ。そのため、総選挙の争点は「消費増税を来年10月に引き上げるべきか否か」となる。ここで消費再増税の先送りについて白黒はっきりさせれば、その手続きにすぎない法案の処理は容易になる。
さらに、野党の選挙準備が整っていない。民主党の衆院議員候補予定者は現職を含めて130人程度と、前回選挙から約2年がたった今も全295小選挙区の半分も埋まっていない。野党同士がつぶし合う選挙区もあり、これから候補者調整は急ピッチで行われるだろうが、与党にとっては非常に戦いやすい。安倍政権としては、いずれにしろ解散は今後2年以内に行わざるを得ないものであり、タイミング的には今がベストである。