929.5億円もの2014年度補正予算がついた省エネ機器等導入補助金制度が今、経済界の注目を集めている。同制度の対象となるのは事業活動を営んでいる法人及び個人事業主で、社会福祉法人なども含まれる。これまでは省エネ補助金を得るための申請手続きが煩雑だったが、これを大きく簡略化し、中小企業にも適用しやすくしようとしている点に特徴がある。
同制度について2月13日、公明党の佐々木さやか参院議員が国会内で勉強会を開いた。佐々木議員は弁護士出身だが、地元の神奈川県はロボット産業などに従事する中小企業を多数抱えており、中小企業対策を求める声が多かった。今回はそれに応えたものだが、勉強会には当初予定していた地元の中小企業関係者に限らず多数の企業の担当者が参加を希望し、同制度に対する経済界の並々ならぬ関心の高さがうかがえた。
さて同制度の内容は、最新モデルの省エネ機器等の導入を支援するA類型と、地域の工場・オフィス・店舗等の省エネ促進を目指すB類型に分けられる。ここで特に注目されているのは、A類型の補助金だ。
これまでは省エネ機器等を導入して補助金を得ようとする場合、申請者自身が個別に機器等の省エネ性能を証明しなければならず、その手続きが非常に煩雑だった。同制度はそれを旧モデルと比較して年平均1%以上の省エネ性能向上が確認できる最新モデルの機器等の範囲を指定することで、申請者が証明する手間を省けるように手続きを大きく変更している。
すなわち経済産業省と関係省庁が連携して補助対象設備のカテゴリを調整し、設備が補助対象要件に合致する証明書は設備メーカーと業界団体が発行する。申請者は指定された製品の証明書を添付して補助金を申請さえすればよく、個別の証明は不要になるというものだ。
これらの補助率は3分の1で補助対象経費下限は150万円だが、特に中小企業やエネルギー多消費企業に対しては補助率が2分の1に上げられ、補助対象経費下限は100万円に引き下げられている。
資源エネルギー庁はこの制度を導入することで、1800億円の設備投入投資が新しく創出されることを期待している。また個々の企業の体力強化と省エネ促進による経済活動の活性化も目指している。
ただし今回の補助金は単年度のもので、「予算がなくなれば終わり」と資源エネルギー庁は述べている。すでに補助金をめぐる争奪戦が予想されており、早々に次年度も同補助金制度の継続を求める声が出ている。
(文=安積明子/ジャーナリスト)