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「毒親」と同じ!? 尾木ママが指摘する、子どもの自立の機会を奪う「依存する親」とは

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「毒親」と同じ!? 尾木ママが指摘する、子どもの自立の機会を奪う「依存する親」とはの画像1※画像:『親子共依存』(尾木直樹/著、ポプラ社/刊)

 反抗期のない子どもが増えているといわれています。さらに、「パパ大好き!」と言って街中で腕を組んで歩く女子高校生も珍しくないのだとか。悩み相談、一緒に買い物は当たり前。中には、「母親と一緒に入浴しています」という男子中学生も…。

 一方、大学選びや受験、授業の履修から就職活動まで、子供以上に熱心になって取り組む親が増えています。今、日本で互いに自立できない“親子共依存”の関係が広がっているのです。

 『親子共依存』(尾木直樹/著、ポプラ社/刊)は、教育評論家で法政大学教授の尾木直樹さんが、急増する“仲良し親子”について警鐘を鳴らす一冊。テレビ番組にも多数出演し、「尾木ママ」の愛称で知られている尾木さんは、「反抗期がない子ども」「子ども想いの親」という、一見ほほえましい関係に隠れた問題へ切りこみます。

「親ラブ族」が急増中!

 中学生にもなれば、娘は「お父さん、くさい!汚い!」と父親を避けだし、息子は「うっせえよ!」と母親をないがしろにする…いわゆる“反抗期”を迎えると言われていましたが、現代では当てはまらないのかもしれません。

 2012年のアンケート結果では、親子の関係について「うまくいっている」と答えたのは、父・母それぞれとの関係がともに90%を超えていたそうです。「LINE」でいつでも連絡を取ることができ、クラスメイトのように自分をいじめることがない…。親に対するそんな「安心感」が、親子の絆を結び付けているのです。

 でも、いつまでたっても親子べったりだと、子どもは自分自身と向き合うことができず、結局自立することができません。

「親と一緒に入浴」が“植物男子”を作る!?

 尾木さんは、ひとりの人間が一人前の大人になり、社会人として生きていくために必要な自立の条件は”精神的自立”、“経済的自立”、“社会的自立”、“性的な自立”の4つだと述べています。

 その中でも特に尾木さんが深刻に憂えているのは、「子どもたちの性的な自立の課題」についてだそう。思春期、つまり反抗期と同時に起きる「体の変化」。体が男らしく、または女らしく変化し始めているにもかかわらず、性的な自立に成功している子どもが少ないことが、データの結果からも分かります。デート、キス、性交の経験率を調べたところ、高校生、大学生とも2005年頃からコンスタントな減少を続けているのです。

 思春期を過ぎても「親子でお風呂」をしていると、異なる性に向き合うという意識が希薄になってしまいます20歳を過ぎても親子で入浴していたA君は、性的関係をほとんど持っていない“植物男子”でしたが、「本当は肉食系になりたい」と尾木さんに語ったそうです。A君は、「親子入浴」の問題を客観的に考えたことがきっかけで、性的な自立を獲得していくようになったといいます。

「毒親」よりも怖い親

 子どもが自立できないのは、親の側が子どもに“依存”しているからでもあるのです。

 子どもが大学生になっても甲斐甲斐しく面倒を見、何でも悩みを聞いてやる親の姿は、過保護に感じられても、育児放棄や虐待をする“毒親”よりは何倍もいいではないか、と思うでしょう。でも、「子どものため」と大学に乗り込んだり、子どもよりも熱心に就活をしたり、子どもと恋人同士のように手をつないでデートしている親は、子どもから自立の機会を奪っているという点で、“毒親”に通じるものがある、と尾木さんは指摘します。

 しかも、一見「ものわかりのいい親」「優しい親」であるために、子どもが「毒である」と感じることも出来ません。けれども、親に全てをゆだねてきた子どもたちは、自立するべき時になってやっと、「自分は自分だけではなにも判断できない空っぽだ」と気づくのです。

 親離れ・子離れができない“親子共依存”は、知らず知らずの低温やけどのように子どもの心を壊していく危険性が大きい、といいます。「うちは仲良し親子だから…」と安心している人も、共依存の関係になっていないか考えてみると良いかもしれません。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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