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地方沈没?大都市との格差鮮明 食品スーパーの地域別業績の大きな格差から読み解く

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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地方沈没?大都市との格差鮮明 食品スーパーの地域別業績の大きな格差から読み解くの画像1「Thinkstock」より
 4月14日、小売業の2015年2月期決算がほぼ出揃った。決算期の始まりの14年3月こそ消費増税前の駆け込み需要で盛り上がったが、4月以降はその反動減が長く続き、業績は概して振るわなかった。

 業態別に見ると、百貨店は高島屋が前期比ベースで営業利益10.0%増、セブン&アイ・ホールディングス傘下の西武・そごうは営業利益7.1%増、三越伊勢丹ホールディングスは営業利益1.0%増(3月期見通し)、阪急・阪神百貨店のH2Oリテイリングが営業利益21.3%増(3月期見通し)など、東京、大阪など大都市圏に店舗を持つところは訪日外国人観光客の「インバウンド消費」の追い風も受けて利益を上げたが、地方の百貨店はその恩恵にあずかれないところが多かった。

 大手流通チェーンも、イオンは主力の総合スーパー(GMS)のイオンリテールや子会社化したダイエーの業績低迷が長引き、連結営業利益は17.5%減で3期連続減益。5期連続営業最高益のセブン&アイ・ホールディングスも、14年2月期と比べた前期比伸び率は営業収益(売上高に相当)が12.8%から7.5%に、営業利益は14.9%から0.1%にペースダウン。中でもイトーヨーカ堂などのGMSは、営業収益は同0.1%増で辛うじて増収だったが、営業利益は34.8%減で、前期の16.4%増と比べて採算が大幅に悪化した。

 コンビニエンスストアも、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)がまとめた2月度の「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」によると、全店の売上高から開店後12カ月未満の新店分を除いた既存店売上高は、消費増税が実施された14年4月度から11カ月連続で前年同月比マイナスの低迷が続いている。それを旺盛な新規出店による増加分でカバーして、24カ月連続の増収になるという構図。

 営業利益は、セブン-イレブン単独では前期比7.8%増で前期の同16.1%増からペースダウン、ローソンは会社予想を下回る同3.5%増、セブン-イレブンに対して同数の大量新規出店「ガチンコ勝負」を挑んで裏目に出たファミリーマートは同6.7%減で、ユニーグループ・ホールディングスとの経営統合で出直す。

食品スーパーは好調?

 このように消費増税後、地方の百貨店もGMSもコンビニ既存店も苦戦を余儀なくされる中、善戦しているのが中型、小型店舗の食品スーパーである。

 日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会加盟285社を集計した「スーパーマーケット販売統計調査」によると、消費増税後、既存店総売上高が前年同月比でマイナスだったのは増税直後の14年4月の3.5%減だけで、5月以降今年2月まで10カ月連続でプラスを維持し続けている。その間、既存店売上高がずっとマイナスだったコンビニとは対照的である。

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