では、何が売れたのか。商品別で最も強かったのが青果、水産、畜産の生鮮食品3部門で、そのトータルでは全体の売り上げが落ち込んだ14年4月もプラスで、消費増税の前から前年同月比プラスを維持し続けている。特に畜産は8月に2ケタの伸びを記録するなど、好調が続く。それに次ぐのが惣菜で、コンスタントに3%以上伸びている。
昔から「食は不況に強い」とよく言われてきたが、食料品が商品ラインナップの主力を占める食品スーパーも消費の低迷に強い業態なのだろうか。
好調な首都圏と中京圏、広がる地方との格差
しかし、全国データだけを見て、「食品スーパーは消費の落ち込みに強い業種」と単純に考えてはいけない。地域間格差、企業間格差が見られるからだ。
「スーパーマーケット販売統計調査」では、全国を6つのブロックに分けてエリア別の既存店売上高も集計している。14年4月は反動減で全国すべてのエリアが等しくマイナスだった。だが、5月以降は好調なエリアと不振のエリアの明暗が分かれたまま、現在に至っている。
好調エリアの筆頭は大消費地の首都圏を抱える関東地方で、5月以降、一度もマイナスになっていない。中部地方も同様だが8月の前年同月比+3.3%が最高であとは+1%台以下にとどまっており、+3%台が2回、+4%台も1回あった関東が突出して良い。逆に最も悪かったのが近畿地方で、消費増税後、4月から今年2月まで一度もプラスになっていない。それに次ぐ悪さだったのが北海道・東北地方で、4月以降でマイナスの月は9回あり、横ばいが1回でプラスは1回のみ。中国・四国地方のマイナスの月は7回。九州・沖縄地方はプラスが8回もあり横ばいは1回、マイナスは2回だけと健闘していた。
関東と中部は非常に好調で、九州・沖縄も良く、中国・四国、北海道・東北は悪く、近畿は最悪。そのように、食品スーパーの既存店売上高はエリアによって明暗がくっきりと分かれていた。
その傾向は食品スーパー各社の業績にも表れている。関東地方が地盤の食品スーパーには15年2月期の業績、特に営業利益を大きく伸ばしたところが複数ある。3月1日付で経営統合してユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスになったマルエツは68.9%増で、カスミは22.9%増。東武ストアは10.7%増、本社は関西だが首都圏の店舗も多いライフコーポレーションは42.4%増とそれぞれ2ケタの営業増益で、いなげや(3月期決算)も12.1%の営業増益の見通し。埼玉県中心のベルクは11.1%と2ケタ増収で販売好調。関東に次ぐ好調エリアの中部、愛知県に店舗網を持つアオキスーパーは、営業利益が前期比2.8倍という好決算だった。