サカナクションのボーカル・山口一郎さん、スガシカオさん、坂本龍一さん、次長課長の河本準一さん、さらには浜崎あゆみさんなど、突発性難聴に悩む著名人は多い。
この突発性難聴は強いプレッシャーを受けていたり、仕事や子育てに忙しい働き盛りの人がかかりやすいのが特徴で、年間で3~4万人ほどが発症するといわれている。
突発性難聴に「兆候」はあるのか?
そもそも、突発性難聴とは何なのか。
「昨日の夜はなんともなかったのに、朝起きて歯を磨いていたら急に聞こえなくなった」なら、それは突発性難聴の可能性が高い。片方の耳だけが急に聞こえづらくなるのも、その特徴の一つといえる。
どれくらい聞こえなくなるのかといえば、雑音の聞き分けが困難になったり、他人の音声自体は聞き取れても何を言っているのかまでは分からないといったレベルだそうだ。
ところで、「突発」と名が付いている以上、まったく予兆はないのか。 『血流を改善するとたった1分で耳がよくなる!』(三笠書房刊)によれば、必ずしもそうではないようで、聞こえなくなる直前には、耳がつまる感じがしたり、めまいや鼓膜が引っ張られるような感覚をともなうことがあるという。
突発性難聴の原因は不明?
では何が原因で、突発性難聴になってしまうのか。
冒頭で「強いプレッシャーを受けていたり、仕事や子育てに忙しい働き盛りの人がかかりやすい」と書いたが、これはあくまで傾向にすぎず、原因とまでは言い切れない。
伝音性難聴の場合、耳垢や腫瘍など、X線やMRIなどの検査によって見つけやすい。しかし、突発性難聴を含む感音性難聴は、見た目にはほぼ問題がなく、専門医であっても発見するのがむずかしく、その原因もまだ解明されていないのだ。
とはいえ、自分の身のまわりを見渡してみるだけで、「プレッシャー」や「忙しさ」、そこから来る疲労度合いと突発性難聴との間には何らかの相関があるのではと思うこともある。
例えば、筆者は疲れてくると強い耳鳴りがしてきて、外の音が聞こえなくなるときがある。そうした「予兆」と思える症状があると休むようにしている。原因は分からないが、確かに長時間労働が続いたときにあらわれるので、もしかしたらこれは何かの合図なのかもしれない。
本書によれば、ストレスがかかりすぎると自律神経が乱れ、結果として難聴を引き起こすケースもあるという。
感音性難聴は治療困難
上で書いたように、感音性難聴は原因の特定がむずかしい。ゆえに、いったんなってしまうと治療もむずかしいというのが現状だ。
また、上述したもの以外でも、工事現場のように騒音の発生する場所で仕事をする人は発症確率が高いことを踏まえれば、できるだけ耳に負担をかけないような生活を送ることは重要だろう。
つい電車の中などでヘッドフォンを大音量にして音楽を聴いてしまうことはないだろうか。そして電車を降り、そのままの音量でしばらく歩いて静かな場所に移動してみると、耳が痛くなるほどの音量で聴いていたことに気づき、慌ててボリュームを絞ったことはないか。まずはこうした習慣を断つことが大事なのだろう。
「難聴」と聞くと、老人性のものを思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、本書を読めば、実に様々なタイプの難聴があり、これは若い人にとっても決して無縁な問題ではないことが分かる。まずは本書を通して、耳の仕組みについて理解を深めてみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。