隠れた会社員の特権!「財形貯蓄」制度を今すぐチェックしなさい!
従業員が受け取る給付金は一時所得という所得にあたります。所得なので税金がかかることになりますが、税金のルール上、一時所得の場合には年間50万円までの受取金額であれば税金がかかりません。また、余談となりますが、給付金制度を導入する会社の処理としては、基金への拠出金を経費に計上することができます。拠出金を経費計上ができると、その分会社の所得が減ることになるので節税になります。会社としては、この制度を導入して従業員の福利厚生を整備しつつ、会社の節税もできるというメリットがあるため、税金を払うのなら、その代わりに拠出金として支払い、節税しつつ従業員に還元しようという考えのもと、この導入している会社もあります。
目的外使用をすると利息が非課税にならないけれど
財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄を利用していて、年金やマイホーム購入以外の目的で使用するためにお金を引き出す場合には、非課税とされていた措置が解除され、利息に課税されてしまいますので注意してください。なお、一般財形貯蓄の場合は、もともと使用目的が決められておらず、利息に課税される仕組みですので、非課税の優遇措置がなくなって不利となるのは、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の場合に限られます。
ただし、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の場合で、目的外使用であっても次の理由による引き出しであれば、税務署からの確認を受けることで非課税の継続が可能です。従来は認められていなかったのですが、平成29年4月以降、非課税になるケースが拡大しました。
・本人または生計を一にする親族が所有する家屋が災害等による被害を受けた場合
・本人または生計を一にする親族に対して支払った医療費の年間合計額が200万円を超えた場合
・本人が所得税法上の一定の寡婦又は寡夫に該当することとなった場合
・本人が所得税法上の特別障害者に該当することとなった場合
・本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することとなった場合
引き出し理由の内容を確認するとわかるのですが、いずれもやむを得ない理由があって、お金の引き出しが必要となった場合に限って、非課税が継続されるということです。非課税を継続しつつ、いざというときに使えるお金を準備しておくことができるという点も財形貯蓄のメリットではないでしょうか。
お金を貯めるという一つのツールである財形貯蓄。みなさんが勤めている会社には財形貯蓄が導入されているか? またどのような福利厚生が整備されているのか? 調べてみて損はないと思います。
亮子「以前は、福利厚生の一環として、従業員に住宅取得資金を貸し出していたような企業もあったけれど、今、そんなに景気の良い会社はないのだろうね」
啓子「1つの会社にずっと勤め続ける、という前提がないと、そのような制度を使うことも難しいですしね」
亮子「財形の詳細は、企業によっていろいろなので、まずは勤務先の制度を調べてみると良さそうですね」
啓子「調べたり考えたりした上で、より良い方法を選択することが重要です。」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)