ですから、これから中古マンションの購入を考えている人は、くれぐれも売り出し価格そのままで買うようなことはしないようにしましょう。
売り手有利の売り手市場から買い手優位の買い手市場に
下のグラフをご覧ください。これは、12年10月から15年10月までの3年間の中古マンション成約価格、新規登録価格を折れ線グラフにしたものです。青が成約価格で、赤が新規登録価格、そしてその両者の差を示す開差率が緑のグラフです。
12年末から13年初めまでは新規登録価格と成約価格の乖離が大きかったのが、13年から14年後半まではその差がほとんどなくなっているのがおわかりいただけるでしょう。つまり、この時期は完全に売り手優位の売り手市場であり、新規登録価格=売り出し価格のままかそれに近い価格で契約が成立したことになります。中古住宅の取引に当たっては値引き交渉、指し値が常識なのですが、中古マンションの異常な人気によって、それがまったく通用しなくなっていました。
なかには、“瞬間蒸発”と呼ばれるケースもありました。人気物件ではウエイティング客がいて、市場に出るか出ないかのうちになくなってしまうという現象です。
しかし、15年に入ってからその流れが変わりつつあります。売り手市場から、買い手優位の買い手市場に入りつつあるのです。
物件によっては1割程度の値引きも可能
15年10月の新規登録価格の平均は1平方メートル当たり52.75万円に対して、成約価格の平均は45.80万円です。両者の開差率は13.2%。つまり、売り出し価格に比べて成約価格は1割以上低くなっているわけです。これは、今回のマンションブームが始まる前の12年末に近い状態です。
こうした環境であれば、当然、値引き交渉の余地が大きくなります。売り手はこれまでの売り手市場の感覚から強気の価格設定で売り出しますが、消費者の購入姿勢もこれまでとは異なり、かなり慎重になりつつあります。売り出し価格のままでは簡単には客がつかない物件が増えているはずです。
もちろん、エリアなどの条件にもよりますが、物件によっては1割程度の値引きが可能になるケースも出てくるでしょう。
東京都の開差率は14.3%
都県別にみると、やはり高額物件の多い東京都の開差率が大きくなっています。都内での購入を考えている人は、こうしたデータを頭に入れて価格交渉に当たってみるべきでしょう。