新築・中古ともにマンション価格上昇が止まらない
首都圏では、マンション価格の上昇が止まりません。
不動産経済研究所の調べによると、新築マンションは2014年10月の平均価格が4560万円だったのに対して、15年10月は5364万円。1年間で17.6%も上がった計算です。一方、中古マンションは、東日本不動産流通機構の調査によると14年10月の成約価格は平均2812万円に対して、15年10月は2948万円。こちらは1年で4.8%の上昇です。
地価が上がり、建築費が高止まりしている現状をみれば、このマンション価格の上昇はまだしばらく続くのではないかとみられています。特に、人気の高い都心部やその周辺の、なかでも大規模物件については年率2桁台の高い上昇率になる可能性も高いのではないかといわれるほどです。
中古マンションは34カ月連続して上昇
しかし、そのマンション市場にも変化の兆しがみられます。市場の先行指標といわれる中古マンション市場の様子が変わりつつあるのです。
首都圏の中古マンションの1平方メートル当たり成約価格は12年12月に前年比マイナス1.1%を記録して以来、15年10月まで34カ月連続して上がり続けています。12年12月の単価は38.34万円で、15年10月は45.80万円。この34カ月の間に実に19.5%も上がった計算です。
そんな数字だけみると盤石な市場ではないかという気がしますが、そのなかで新規登録件数が増えていることに注目しておく必要があります。昨年までは中古マンション価格の先高感から売り惜しみ傾向が強く、新規登録が減り続けてきました。それが、15年1月から新規登録件数が増加に転じました。このところは前年比で2桁台の増加の月もあり、購入希望者の選択肢が広がり、成約件数も増加しているのです。
成約件数増加のなかでも価格の上昇が続く
市場経済では商品の価格は需給のバランスによって決定されます。今年の前半までは供給が減少するなかで、需要が根強いために価格の上昇が続いてきました。しかし、今年に入ってから供給が急速に増えているにもかかわらず、価格は上がり続けています。供給が増えれば、その分価格抑制圧力がかかるはずですが、そうはなっていません。それだけ需要が強いという見方ができるかもしれませんが、これはかなり異常な状況ではないでしょうか。
住宅や不動産の価格は、市場原理だけではなく不動産投資などの要素があって、ある程度思惑で動く部分があります。今はそのムードに流されて上がり続けているような気がしてなりません。大変危うい状況といっていいのではないでしょうか。市場経済の原則からすれば、いつ下がり始めてもおかしくないのです。