ポイントカードとビッグデータの怖い話…あなたが価格を気にしない顧客であれば要注意?
この平均よりも価格を気にしない顧客を発見して、抱え込んで育てることが、会社が利益を確保するためには実に重要なのである。だから、とにかくまず最初に価格を気にしない顧客をリストとして把握することが大切である。
次にこのリストを利用して、そういった顧客を囲い込んでいく。つまり大切な顧客として、私のような特売品しか買わない顧客と区別したサービスを提供していくといい。
価格を気にしない顧客は、カレールーだったらハウス食品の「ザ・カリー」以外は嫌だとか、牛肉は価格が高いほうが品質が高いと思っているとか、人参は低農薬の有機栽培でなければ買わないことにしているとか、玉ねぎと買い物メモに書かれていたら目に入ったものをカゴに入れるとか、理由はさまざまである。
そこまでわかったら、あとはどう利益を上げる方法を考えるか。間違ってもそういった大切な顧客に「あなただけの30%引きクーポン」などを送ってはいけない。そうではなく、例えば有機野菜に特別なお金を支払う人には、特別な生産者から直に仕入れた食材を案内する。ないしは非常にブランドロイヤリティが高い商品がどれなのかがわかったら、それらの商品を目立たないようにちょっと値上げをする。実際に世の中の高収益小売業は、こういった経営努力をしているのだ。
●FBIは、スーパーの顧客のポイントカードからテロリストを見つけた?
さて、最後にちょっと怖い話をしておこう。
もしあなたが価格に敏感ではない人だった場合、そのことはできるだけ内緒にしておいたほうがいい。なぜなら、あなたのような人を、日本中の小売業者、サービス業者が求めているからだ。
あなたが、ただいつものスーパーで割高な商品を買うだけではなく、実はちょっとした移動でもタクシーを使うし、スタバに入ったらカフェモカとついでにサイドオーダーも注文する人だと、もしわかってしまったら?
そんなあなたが来店したとわかってしまうと、本来受けられるはずの割引が知らされなかったり、本当は必要ではないような高性能の商品を勧められてしまうかもしれない。
個人情報保護法があるから大丈夫?
でもあなたはポイントカードに加入した段階で、ポイント還元と引き換えに、あなたの個人データを使ってもいいという規約に同意しているはずだ。
実際に、アメリカやイギリスといったビッグデータ先進国では、個人情報を詳細に把握しているのは政府機関よりもスーパーマーケットだったりするのだ。そして実際に、9.11テロの直後には、それらスーパーマーケットが進んでFBIなどの政府機関に個人情報を提供したことで、テロリストと類似した消費行動をしている顧客が政府の監視下に置かれ、その中から容疑者が浮かび上がったのだ。