がん保険や医療保険の保険料、来年上がる公算…「健康年齢」に応じて同年齢でも保険料に差
2018年には生命保険の保険料が上がるかもしれない。それも、同分野で今一番売れているといわれる医療保険やがん保険の保険料がだ。すでに終身払いで入っている人に影響はないが、これから新たに加入を考えている人は頭の隅に入れておこう。
なぜ、保険料が上がる(ものによっては下がる)のか。一口にいえば、日本が長寿化しているからだ。厚生労働省が発表した「平成28年簡易生命表」によると、男女それぞれ10万人が出生した場合、65歳まで生存する人の割合が男は89.1%、女は94.3%だという。男女ともに9割近い。
同様に、90歳まで生存する割合は男が25.6%、女はなんと49.9%。女性の約2人に1人は90歳まで生きている計算になる。さらに95歳までとなると、男9.1%に対し、女は25.2%で4人に1人と、かなりの生存割合だ。政府も対策に乗り出した「人生100年時代」は、間近な未来だったのだ。
長生きする人が増えるということは、早く死ぬ人が少なくなるわけだから、亡くなったときに多額の保険金を支払う件数が少なくなるだろうし、逆に病気のリスクは増大するため、保険金支払いの回数が増えると考えられる。こうした長寿社会の状況を受けて、保険業界では「標準生命表」が改訂される予定だ。
これは、先ほどの厚労省の簡易生命表とは意味合いが異なる。保険会社は、「経営が苦しくなって保険金が払えない」という万が一の事態を避けるために、責任準備金を積み立てなくてはならない。その準備金を算出するための予定死亡率として使われるのが、日本アクチュアリー会が作成する「標準生命表」だ。
2018年4月に改定が予定されている同表によると、最終年齢は男性116歳、女性118歳という設定になる(医療保険など第三分野に使われる数字)もようで、これをベースに準備金を積み立てていくとなると、保険会社にこれまで以上の負担が生じる可能性がある。
そのため、特に終身払いの医療保険料が上がると予想されているのだ(定期保険や収入保障保険などの死亡保障に関する保険は、逆に下がるともいわれている)。そこで、保険の新しい動きとして注目されているのが「インステック」である。
同年齢でも健康な人ほど保険料が安くなる?
「ファイナンス」と「テクノロジー」を掛け合わせた「フィンテック」という言葉は、一般的に使われるようになってきた。同様に、「保険」と「テクノロジー」を組み合わせた造語が「インステック」(インシュアテックともいう)だ。
ビッグデータや人工知能(AI)の活用をはじめ、保険各社でさまざまな取り組みがスタートしている。医療ビッグデータを基にしたリスク度解析で保険料を設定する、つまり病気リスクが低いほど保険料を割安にできる商品も登場している。
第一生命保険グループのネオファースト生命保険は、生活習慣病での入院を保障する医療保険「ネオde健康エール」などで、独自の「健康年齢」という算定方式を取り入れている。健診データなどを解析し、検診項目の数値から将来の疾病発生リスクを分析、保険加入希望者の健康年齢を独自に割り出すものだ。
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