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個人年金や投資信託なんて、やってはいけない…手数料で儲ける金融機関、損する顧客

構成=小野貴史/経済ジャーナリスト
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――本書では、外貨建て生命保険の「少子高齢化が進み日本の国力が衰えて円安になるので、外貨ならお得」というセールストークの欺瞞についても指摘していますね。

荻原 円高や円安は、日本の国内要因だけで決まるのではありません。ドル円相場なら相手国であるアメリカとの関係で決まるものであり、つまりはアメリカ次第なのです。1985年のプラザ合意でアメリカが円安を批判した途端に円高が進んで1ドル=160円まで進みました。また、この20年は少子高齢化が進んでいるのに円高になっています。

18年から日本経済が大不況に陥る可能性も

――日本経済そのものの見通しはいかがでしょうか。

荻原 昨年中頃から景気が上向いてきましたが、これはアベノミクスの成果ではありません。中国が今年10月の共産党大会前に景気浮揚を演出するために金融緩和を行ってきたので、その成果として景気が良くなったのです。けれど、党大会終了後は金融引き締めに転じる可能性があります。その場合、利上げをしているアメリカは利下げで対応できますが、ゼロ金利政策を続けている日本は利下げすることができません。

 本書で詳述していますが、そのため2018~20年に日本経済は大不況に見舞われる可能性があります。もちろん、投資にとってはマイナス要因です。ですから、来年以降は投資に不向きな時代になるかもしれません。

――投資商品の手数料については金融機関側も説明が不足しがちで、消費者側も気付きにくい。そのため、盲点のようなかたちで消費者が損失を出してしまう要因になっているのではないでしょうか。

荻原 金融機関は手数料で儲けるために投資商品を販売します。いわゆるフィービジネスです。金融商品取引法に基づいて手数料の説明が義務付けられていますが、たとえば地方の山間部の郵便局の職員が地元のおばあちゃんに懇切丁寧に説明しているか。一方、消費者側もリターンのほうに目が行きがちで、あまり意識していません。販売側と購入側の双方に問題があります。

 運用のプロであれば、1銭、2銭単位で手数料に敏感です。しかし、たとえば退職金の1000万円をどう運用しようか考えているような人は、1~2%の手数料は意識しないでしょう。しかし、運用している間は確実に手数料というコストがかかります。そのため、思ったように増えないばかりか目減りするリスクもあるのです。

『投資なんか、おやめなさい』 「老後のためには投資が必要」なんて大間違い。「何に投資すれば?」と窓口で訊くなんて愚の骨頂。銀行も、生命保険会社も証券会社も、いま生き残りをかけて私たちのお金を狙っている。個人年金、純金積立、マンション投資、毎月分配型投資信託……あらゆる投資商品でカモの争奪戦を繰り広げているのだ。2018年、20年に高い確率で到来する大不況にどう立ち向かえばいいか。リスクと不安を抱えないための資金防衛術。 amazon_associate_logo.jpg

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