ビジネスジャーナル > マネーニュース > 40代で低所得者世帯が増加
NEW
黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

40代で低所得者世帯が増加…可処分所得が60代と同水準に

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
40代で低所得者世帯が増加…可処分所得が60代と同水準にの画像1「Thinkstock」より

 孔子曰く、「40にして惑わず」の40代だが、昨今は、まだまだアレコレと迷うことの多い世代なのかもしれない。

 というのも、いわゆる働き盛りで、これから50代の最終的なピークに向けて、収入も右肩上がりになっていくべき40代で、低所得者世帯の割合が増加している現状が明らかになったのだ。

ここ20年で、40代の平均所得は1割減?

 2017年10月24日に厚生労働省が発表した「平成29年版厚生労働白書」によると、世帯主が40~49歳の世帯について、1994年から2014年の20年間の世帯総所得の変化を見ると、300万円未満の低所得者の世帯割合が11%から17%と1.5倍に増加する一方、700~900万円未満や1,000万円以上の世帯割合が減少している。

 つまり、所得分布のばらつきは変わりないが、全体的に所得が低いほうへとスライドしているということだ。

 また、1世帯当たり平均総所得金額は753.2万円から686.9万円に、中央値も690万円から627万円に減少しており、およそ平均所得は1割近く減少していることになる。

 なお、中央値とは、統計上よく使われるもので、この場合、所得の低いほうから順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する金額をいう。平均よりもより実態に近いイメージだろうか。

40代で低所得者世帯が増加…可処分所得が60代と同水準にの画像2

現在の社会保障制度は現役世代より高齢世代への給付が手厚い傾向

 これらの背景として、世帯所得の高い3世代世帯の割合が減少したことや単独世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯の割合が増加したこと、さらに単独世帯やひとり親と未婚の子のみの世帯の所得が減少したことが挙げられている。

 要するに、ここ20年で一家の稼ぎ手が1人のみのおひとりさまやシングルマザー・ファーザー世帯が増えたためということだ。しかし、高所得者世帯が減少し、低所得者世帯が増加しているのは40代にとどまらない。30代、50代といった現役世代も程度の差こそあれ、同じような状況である。

 一方、高齢者世帯では、100万円未満の低所得世帯割合の減少や200~500万円未満の中所得世帯割合の増加により、所得分布のばらつきが縮小している。

 なぜ、所得が改善したのか? 年金等で収入がアップしたからだ。1994年と2014年を比べると、公的年金・恩給に企業年金・個人年金などを加えた1世帯当たりの平均所得金額は184.6万円から214.7万円に増加している。

 厚生労働省では、現在の社会保障制度は現役世代よりも高齢世代への給付が手厚くなる傾向があると分析している。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

40代で低所得者世帯が増加…可処分所得が60代と同水準にのページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!