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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

年収695万円以下だと、確定申告で税金が戻ってくる?

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士

配当金に関する源泉徴収税額:損益通算前の所得5万円 × 税率20.315%= 1万157円
・損益通算後の所得:配当金5万円 - 繰越損失2万円 = 3万円
税金金額:損益通算後の所得3万円 × 税率20.315% = 6,094円
還付税金:源泉徴収税額1万157円 - 税金金額 6,094円 = 4,063円

 確定申告(申告分離課税選択)をして損益通算制度を利用すると、税金が4,063円返ってくることになります。

配当控除を受けるとお得なケースとは?

 配当控除を使用することができる「総合課税」は、所得金額に応じて税率が決まる累進税率が適用されるため、所得が多ければ多いほど税率も高くなり、一定の所得水準以上の方は、総合課税を選択すると不利となるケースもあります。

 課税される所得に対する税率は695万円までであれば20%未満となりますが、所得が上がるにつれて税率は上昇していくので、所得が695万円超の場合、総合課税を選択すると不利となる可能性が高いです。実際には、配当金の金額や個人の状況によって異なりますので、695万円はあくまでも目安となります。配当金から差し引かれている税金は所得税、住民税あわせて20.315%のため、下記表の一番右列「配当控除後の所得税と住民税」の税率が20.315%よりも低ければ、配当控除を使ったほうが有利となります。配当所得に対する配当控除後の実質的な税率をまとめてみます。

年収695万円以下だと、確定申告で税金が戻ってくる?の画像4

 所得が195万円以下の場合、配当所得以外の所得が配当所得を上回れば、その分に関する所得税も還付される可能性があるためマイナスとしていますが、トータルの税金がマイナスになることはありません。

 それでは、確定申告をした場合としない場合の税金を具体的に比較してみましょう。

【前提】
 合計所得695万円(配当所得10万円+その他の所得685万円)の場合。計算式の中の※印は、所得水準(課税される所得が330万円超695万円以下の場合)に応じて決められた税率および控除額です。

<確定申告なし>
(1)所得税:685万円 × 20.42%※ - 43万6,477.5円※ = 96万2,292円
(2)住民税:685万円 × 10% = 68万5,000円
(3)配当金に関する源泉税額:10万円 × 20.315% = 2万315円
差し引き合計((1)+(2)+(3))=166万7,607円

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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