安倍政権の「キャッシュレス決済比率4割」政策への違和感…消費者が享受する「メリット」
厳密には詳細が異なるが、ここはざっくりとした分類でご容赦願いたい。これまで、キャッシュレスを語る際はクレジットカードやカード型電子マネーを指すことが多かった。しかし、経産省の資料で言及されているのは、従来型のプラスチックカードによらない媒体(スマホなど)であったりもする。さらには、電子マネーでも実際にはスマホアプリからの支払いだったり、リアルカードのないバーチャルデビットアプリもあったりするので、キャッシュレスの主役は「スマホ払い」に移っていくといっていいだろう。
政府もそれは承知していて、産学官が立ち上げた「キャッシュレス推進協議会」には、こうしたアプリを開発しているフィンテック関連の企業も名を連ねている。話を聞いていると、これらの技術に経産省が期待を寄せているな、と肌で感じる機会も多い。
そこで、話は先ほどの「支払データの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化等」につながってくる。経験がある人も多いだろうが、スマホにはまめにクーポン情報が流れてくる。アプリが使える近所の店情報と割引クーポン、また、よく行く店があればその店のクーポン、というように、消費の利便性というのか活性化というのか、つまり消費喚起が簡単にできるわけだ。
自分がよく行く店やよく買うものの割引特典があることは、もちろん消費者にとってはメリットといえる。現在、アプリがどこまで個人データをためているかはわからないが、たとえば、ある家がトイレットペーパーを買うサイクルを蓄積した買い物データから分析・予測し、そろそろ買い時という頃にアプリがクーポンを送ってくれるとしたら、買い忘れも防げるしうれしい。ただし、店に行けばトイレットペーパーだけでなく、別のものもついで買いするかもしれない。こうして「消費の活性化」につながっていく。
政府の「未来投資戦略2018」には、こんな一説がある。
「21世紀のデータ駆動型社会では、経済活動の最も重要な『糧』は、良質、最新で豊富な『リアルデータ』。データ自体が極めて重要な価値を有することとなり、データ領域を制することが事業の優劣を決すると言っても過言ではない状況が生まれつつある。
これまで世の中に分散し眠っていたデータを一気に収集・分析・活用する(ビッグデータ化)ことにより、生産・サービスの現場やマーケティングの劇的な精緻化・効率化が図られ、画一的ではない、個別のニーズにきめ細かく、かつリアルタイムで対応できる商品やサービス提供が可能になる」
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