筆者がある家庭の家計相談を実施していた際、このような質問をされました。
あなたはどう思いますか?
自動車保険は1年間使わなければ翌年の等級が1つ上がり、それと共に保険料が安くなります。しかし、事故を起こして保険を使うと、翌年の等級が下がり、保険料が上がります。このことは、自動車やバイクを運転する方はよくご存じのことと思います。
では、冒頭の方が自分で車をぶつけた時の修理代を、車両保険特約で賄っていたらどうなるでしょうか? ちなみに、この方が加入していた自動車保険の保険料は年間8万円でした。
保険を使わない場合、今後4年間に支払う保険料の総額は約30万円です。これに対して、5万円の修理代を保険で賄ったと仮定すると、43万円にも跳ね上がります。その差はなんと13万円です。
もしも保険を使っていれば、目先のお金は払わなくて済むけれど、後々の保険料負担が重たくなります。つまり、修理の際に聞いたとおり、保険を使わずに自分で5万円払って修理をしたほうが、その後の保険料は安くなるから、トータルではお得だったのです。
車両保険に加入する時は、免責額も検討すること
自損事故などで車を修理することになった場合、「車両保険に入っているから、車両保険で直そう」と安易に考えてしまいがちですが、まずは今加入している保険会社に、「車両保険を使ったら、どれぐらい保険料が増えますか?」と聞いてみましょう。その後に支払う保険料も計算した上で、保険を使って直すのか、それとも自分のお財布から修理代を出すのかを考えても遅くはありません。
とはいえ、もしもの時のために保険に入っているのに、保険料は払いながら実際は使わないとなると、もったいない気がするかもしれません。
そこで、車両保険に加入すると決めたら、「免責額をいくらにするか」ということも検討してください。
免責とは、保険会社が支払いを免れるということ。免責額0円なら契約者の自己負担は0円、免責額10万円ならば10万円までは自分で負担し、修理代が10万円を超える場合は、その超えた金額を保険会社が負担するということになります。つまり、5万円程度の修理代を自分で負担するのであれば、最初から免責額を5万円や10万円などに設定しておけば、保険料は若干ながら安くなるのです。
目の前の出費だけではなく、保険を使った後の保険料も考慮に入れて車両保険をご検討ください。
(文=前野彩/ファイナンシャルプランナー)