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小池知事提示の卒業証書、自著内容と食い違いか…エジプト政府紙、過去に不正卒業を示唆か

文=編集部
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「小池百合子フィシャルサイト」より

 カイロ大学を主席で卒業したとのプロフィールに詐称疑惑が浮上していた小池百合子東京都知事は15日の会見で、カイロ大の卒業証書と卒業証明書を公開したが、これがいっそう疑惑を深めているようだ――。

 小池氏の学歴詐称疑惑を告発した書籍『女帝 小池百合子』(文藝春秋/石井妙子著)が5月29日に発売され、約2週間で15万部を突破。ノンフィクションとしては異例のベストセラーとなり、世間の注目度が無視できないほど高まったと判断したのか、小池氏は自ら卒業証書を公開するという手段に出た。テレビ局関係者はいう。

「新聞やテレビなど大手メディアでこの問題を追及する気配は皆無。小池氏の定例会見などでも都庁記者クラブ所属のメディアからは、この問題に関する質問は出ず、12日の都知事選出馬会見でも1回だけフリーの記者から質問が出ただけでした。しかも小池知事は『卒業云々については、すでに何度もカイロ大学は認めているということを申し上げて参りました』などと言った後、その記者が質問を続けようとしているにもかかわらず、一方的に質問を打ち切っていました。小池知事の再選確実が濃厚のなか、記者クラブメディアはどこも都から情報をもらえなくなるのを恐れて、一様にこの件には触れない姿勢です」

 大手メディアに追及を期待するのは難しいようだが、小池氏が15日に提示した卒業証書の内容について、ある疑問が広がっているという。

「卒業証書では卒業年月が『1976年10月』と記されていますが、小池氏は過去の著書で“72年10月に1年生としてカイロ大学に入学”“1年目に落第して進級できなかった”と記しており、小池氏が卒業した文学部社会学科は4年制のため、もし通常のプロセスで卒業したのであれば入学4年目に当たる76年に卒業したというのは辻褄が合いません。

 ちなみに『女帝』では71年に関西学院大学に入学するも同年に中退し、72年にカイロ大学に2年次から編入したという当時の小池氏の同居人の証言も掲載されていますが、エジプトの国立大学の制度上、正規のルートでは小池氏が2年次から編入することはできないと、すでに多くの識者から指摘されています。このように今回の卒業証書の提示だけでは、何も疑問が解明されていません」

エジプト政府を通じて卒業の声明が出された意味

 エジプトの大学では入学・卒業をめぐり不正が横行しているという指摘は、これまでも数多くなされている。たとえばカイロ・アメリカン大学大学院中東研究科を卒業した作家の黒木亮氏は、5月30日付「現代ビジネス」記事『カイロ大学の深い闇…小池百合子が卒業証書を「出せない」理由』で次のように記している。

 <ベテランのエジプト人ジャーナリストは「エジプトの有力政治家が『この人物を卒業生にしろ』と命じれば、学長は職員に命じて卒業証明書や卒業証書を作らせる。職員は入学記録や初年度の成績などを参考に成績表も偽造し、大学内の記録も含めて形式的に完璧にする。したがって書類だけを見れば瑕疵がない、これはエジプトでは当たり前のことで、事務的に処理される」と述べる>

<エジプトの国立大学による不正な卒業証書の発行は現在も続いており、2015年にはカイロ大学のガーベル・ガード・ナッサール学長がエジプトの民放に出演し、7、8年前(すなわち2007、8年)から大学教授、職員、政治家などが関与して、不正に卒業証書が発行されており、ナッサール学長自身、卒業証書発行業者がカイロ大学の職員の手引きにより、大学内の講堂を使用し、資格取得のための講習をしているのを番組の2週間前に偶然目撃したと話している>

 霞ヶ関の官僚は語る。

「エジプトは2017年までの累計で日本から総額1兆円以上の経済援助を受けており、2018年の1年間だけで300億円以上の援助を受けています。そして小池氏は日本では自他共に認める“エジプト通”の政治家として知られ、エジプト政界と太いパイプを持っている。さらに閣僚経験者で政権与党の自民党から支持を得ているとなれば、エジプト政府が小池氏をどのように扱うのかは、容易に想像できます。

 今回の疑惑浮上を受け、わざわざエジプト大使館、つまりエジプト政府を通じてカイロ大学から小池氏の卒業を証明するという声明が出されたこと自体が、事の異常さを物語っています。日本をはじめとする先進国の政府や大学が、一個人の卒業をめぐってそのような行動を取ることはあり得ません。この問題が極めて政治的な意味合いを帯びたものであるということが、強く印象付けられます」(霞ヶ関の官僚)

“主席卒業”にも深まる謎

 小池氏とエジプト政府の関係については、カイロ大学OBのジャーナリスト、浅川芳裕氏が6月12日付JBpress記事『カイロ大「小池氏は卒業生」声明の正しい読み解き方』で次のように指摘してる。

<政府系新聞アハラーム紙の記事(2016年8月3日付)です。「ハーテム情報大臣の支援を受け、彼女は社会学科を卒業。彼は小池を自分の子供のようにみなしていた」(抜粋)とあり、ハーテム・小池後ろ盾説をエジプト政府(系新聞)が公認した内容です。>

 これについて前出と別の全国紙記者はいう。

小池氏が“正規のルート”でカイロ大学を卒業したのではなく、何か不正な手段によって卒業したと、エジプト政府がお墨付きを与えているようにも受け取れます。

“主席卒業”というプロフィールについても、小池氏は2018年の会見で都議の質問に答えるかたちで『当時の担当教授の言葉を鵜呑みにした。そのことでうれしくなって、最初の本にはそう書いた覚えがある』『先生に“非常にいい成績だった”とアラビア語で言われ、うれしかったことは覚えている』と明かしており、根拠が薄い。もちろん今回公開された卒業証明書にも“主席卒業”とは書いておらず、謎は深まるばかりです」

 改めて小池氏には、説明責任が問われている。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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