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江川紹子の「事件ウオッチ」第100回

麻生財務相、問題発言に対して「誤解」連発、条件付き「謝罪と訂正」…国会発言削除の危険性

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 麻生氏の今回の発言は、公文書改ざんを明らかにし、その後も追及を続ける新聞メディアに対する反発であろう。こうした事実に基づかない発言が平然となされるのは、メディア批判、とりわけ政権批判をするメディアに対する激しい非難が、政権支持者の間でブームのようになっており、その手の発言は、多少事実に即していなくても、支持者たちには受けるという政治家たちの読みがあるのではないか。安倍首相も、国会で朝日新聞を名指しで、しかも何度も名前を挙げて非難した。トランプ米大統領が、繰り返しメディア批判をするのと同じ現象のようにも見える。

 後年、そのような今の時代について、さまざまな考察をするうえでも、今の国会の状況を正確に記録された議事録は大事な歴史資料となる。それをなくしてよいはずがない。

 記載を残せば特定の人のプライバシーが毀損されて計り知れない不利益が生じるなど、特別の事情がない限り、発言の削除は行うべきではない。たとえば、当該部分に下線を引いて、抗議があったことや本人が撤回したなどの注を付け加えるなど、ほかに対応する方法を考えればよい。

 森友学園への国有地売却をめぐって明らかになったのは、行政府の財務省が公文書の一部を削除するなどして改ざんした問題だ。立法府までが、歴史の改ざんを行うなど、あってはならない。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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