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神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

バカ高い日本の生命保険、保険料支払額&保険金不払い額世界一!1世帯で年間41万も負担(前編)

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント
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バカ高い日本の生命保険、保険料支払額&保険金不払い額世界一!1世帯で年間41万も負担(前編)の画像1「Thinkstock」より

「中立の立場で保険の見直し」という胡散臭さ

 ここ数年、「今の保険を見直しませんか?」と喧伝する乗合型保険代理店があふれ、「中立の立場で、お客様の保険選びのお手伝いをします」などとアピールしています。しかし、営利目的の業者に「中立の立場」などありえないはずで、昨年ついに金融庁は、「手数料率のよい保険ばかりを顧客に勧誘しているのではないか」という疑いで、調査に乗り出しました。

 保険会社や保険の種類によって、代理店が得られる販売手数料率は異なります。例えば、保険会社は自社の商品を一定以上販売する代理店への手数料率を大きくアップするからです。ちなみに、代理店が顧客へ保険商品を販売して保険会社から得られる手数料は、おおむね以下のようになっています。

【10年定期・死亡保険金3000万円・30歳男性の場合】

・顧客が支払う月額保険料:7000円前後(年間8万4000円)→10年間=84万円 

・保険代理店手数料:(1)初年度:保険料の40~70%(3万3600~5万8800円)
          (2)2年目:同40~70%(3万3600~5万8800円)
          (3)3~10年目:同5~10%(3万3600~6万7200円)
           ※10年間の合計:10万800~18万4800円

 代理店手数料率の10年間平均は、支払保険料の12~20%になります。そして当初2年間は同40~70%であり、2年ごとに「保険の見直し」を行うことが代理店にとっての大きなメリットになるわけです。

 もちろん、上記の10年定期といった掛け捨ての保険は、大元の保険会社も儲かります。ゆえに保険会社は、高額の手数料を払ってでも代理店に新規客を獲得させます。そのため、初年度だけは支払保険料の100%全額が手数料という保険商品さえあるのです。ただし、1年ないしは2年以内に解約があると、代理店は支払われた手数料の一部を保険会社に返還しなければならないというペナルティもあります。

 いずれにしろ、この業界のビジネスモデルは、初年度から2年目までは代理店側が大きく儲け、3年目以降は長期にわたって保険会社側が儲けるという構図になっているのです。代理店にとっては、契約から2年たったら顧客に「保険の見直し」を勧め、新規契約を繰り返す「自転車操業」が欠かせません。派手にテレビCMを流し、無知な顧客をカモにする「欺瞞的商法」がはびこる理由です。

保険会社の儲けの構造

 日本人は、世界一生命保険好きの国民といわれます。生命保険文化センターによれば、2013年の1世帯当たりの年間生命保険料の払込額は41.6万円に上ります(男性平均24.1万円、女性平均18.2万円)。この金額は世界でも突出しており、堂々の世界第1位です。勤労者世帯の年間住宅ローン返済額の平均が113万円(総務省「家計調査」より)ですから、日本人にとっての生命保険料は、住宅ローンに次ぐ大きな支出となっていることがわかります。

 また、保険は家族ぐるみで売り込めるので、1世帯に「掛け捨て定期保険」「貯蓄性積み立て/一括払込み終身保険」「先進医療特約付き医療保険」「学資保険」「個人年金保険」「収入保障保険」などを合わせて年間40~50万円を引き出せれば、代理店は2年間で30~70万円前後の手数料収入が得られます。

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