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ただし、ラッコのように注目を浴びやすい動物が保護の対象になると、それだけで展示できる動物に限りが生まれてしまう。また、動物の購入も難しくなっている。中国での需要増加に伴い、キリンやゾウが入手できなくなっているのだ。
「どうせ大した動物もいないし、行かなくていいや」と思われてしまえば、来場者数は減っていく。そして赤字経営になれば、さらに新たな動物の確保は難しくなるだろう。水族館から魚がいなくなり、動物園から動物がいなくなるリスクは、十分にある。
ライトアニマルという選択肢
絶滅危惧種として規制がかかり、さらに国際競争にさらされる水族館はどう生き残るべきか。そこで期待されるのが「ライトアニマル」というプロジェクトだ。ライトアニマルとは、デジタル映像で巨大な動物を展示するもので、日本人の河合晴義氏、西海圭祐氏が発案した。実際の動物の代わりに高品質の映像を展示するため、巨大すぎて水槽で育成できないクジラや、すでに絶滅した生物も見ることができる。
これまでも巨大スクリーンで動物を見られる映画は多数存在した。しかしライトアニマルは映画と異なり、インタラクティブに子どもたちの動きへ反応する。つまり水族館と同じ「手を振ったらこっちを見た!」という体験と同じ臨場感を味わうことができるのだ。さらには闘病や障がいで水族館へアクセスできない児童へも展示できる。ライトアニマルは、まさに教育の未来を担うツールといえるだろう。
ライトアニマルは、すでにハワイと中国都市での展示を実現させている。クジラやイルカなど、愛護団体が抗議をしやすい動物の展示を代わりに映像で行うことができるメリットは大きい。確かに未来の水族館からは、魚がいなくなるかもしれない。しかし生命と触れ合う臨場感は、日本人発のプロジェクトが遺してくれるかもしれない。
(トイアンナ/ライター、性暴力防止団体「サバイバーズ・リソース」理事)
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