6月29日から始まるテニスのウィンブルドン選手権。ゲリー・ウェバー・オープン準決勝を怪我のため棄権した錦織圭選手だったが、その後、自身の公式サイトで「大丈夫だと思う」とコメントし、私たちを安心させてくれた。
そんな錦織選手が流暢な英語でインタビューに答えている様子を見たことがある人は多いはず。
6月13日にNHK Eテレで放送された『SWITCHインタビュー 達人達』の中で、松岡修造氏はプロテニスプレーヤーの育成の際に英語を重視していると述べた。松岡氏の主宰する「修造チャレンジ」には当時11歳だった錦織選手も参加しており、英語でスピーチをさせていたという。
スポーツだけではなく、これから先、英語を話すことを求められる場面はたくさんあるだろう。とはいえ、学校で習った英語だけで話せるようになるのは難しいことは誰もが実感している。そんな環境の中、自分の子どもの将来のために、英語が話せるようになってほしいと幼児期から英語に触れさせたいという親は多い。
『お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(平川裕貴/著、彩図社/刊)は、日本航空CA、外資系英語スクールマネージャーを経て、現在は3~6歳の子ども向けのプリスクールを経営する、幼児英語教育暦30年の平川裕貴氏が、お金をあまりかけずに、家庭でできる子ども向け英語教育についてまとめたものだ。
そもそも子どもがバイリンガルになると、どんなメリットがあるのだろうか。
まずは、英語は外国の言葉なので、英語を学ぶということは、その言葉の奥にある文化や習慣にも触れることができる。いろいろなやり方や考え方があると知れば、起こる出来事をあらゆる角度から分析し、広い視野で判断を下せるようになる。髪や目の色が違う人がいて、まったく違う言葉を話し、違う文化や習慣の中で生きているということ知るだけでも、子どもの世界は広がるのだ。
これからの時代、英語は進学や就職においてますます重要視されるようになり、英語ができれば選択肢も広がる。また、バイリンガルであることは、職業や生き方の選択肢も広げてくれる。
バイリンガルに関しては、いろいろな研究や調査がなされている。米ノースウエスタン大学の研究チームは「2か国語を話す人の脳は、1か国語だけを話す人の脳と比較して、音節を判別する能力に優れており、ざわめきに埋もれた音節でも感知できる。2か国語以上を習得した人は神経系統が微妙に変化することで脳の力が増し、複数の作業を同時に行ったり、物事の優先順位付けをする能力が高まり、加齢による衰えにも強くなる」と発表。
また、モントリオールのマギル大学では「バイリンガルは問題解決能力が高い、自由な発想力、他者に共感する能力に優れている」と発表している。早期英語教育に否定的な研究やレポートもあるが、平川氏自身は早期英語教育に否定的になるような事例には、一度も遭遇していないという。