天才・モーツァルトでもできなかったのに、チャイコフスキーが海外で大金を稼げた理由
7月15日は「海の日」です。1992年に制定されたときは7月20日と決められていましたが、2003年にハッピーマンデー法、すなわち祝日を特定週の月曜日に移動して3連休にする法律が海の日にも適用されて「7月の第3月曜日」となりました。
僕は、日本山岳会や自然保護団体の働きかけによって決まった8月の「山の日」と同様に、海好きな国会議員が、国民に海を楽しんでもらおうとの趣旨で制定した祝日だと思っていましたが、皆さんは本当の理由をご存じでしょうか。
実は、海の日は明治時代にさかのぼるそうです。江戸時代は、象徴として君臨するだけで、実際には行動を起こすことがなかった従来の天皇とは違い、明治天皇はとても行動力がおありで、日本全国を巡幸されることも多かったそうです。1876(明治9)年、50日間もかけて東北地方を巡幸なさった際に、初めて船に乗られ、青森から函館を経て横浜港に着岸したのが7月20日。この日を記念して「海の記念の日」ができました。それが1992年になって「海の日」として祝日に制定されたのです。祝日法によれば、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨としており、世界の国々の中で「海の日」を国民の祝日としているのは日本だけのようです。
本当の意味の「海の日」とは、砂浜の波打ち際で、浮き輪片手に水をかけあう日ではなく、遠くを眺めながら、はるかなる海のかなたに思いを寄せ、その海に囲まれている日本を考える、そんな日なのです。実際に、2007年に制定された海洋基本法第13条によれば、「国及び地方公共団体は、海の日において、国民の間に広く海洋についての理解と関心を深める行事が実施されるように努めなくてはならない」と書かれています。全国で順番に行われている「海フェスタ」に毎年、秋篠宮殿下・妃殿下がご参加なさってこられたのは、こういう背景があるのですね。ちなみに、海がない県は、やることがありません。そのため、たとえば海のない奈良県では「海の日」を「奈良県山の日・川の日」と条例で制定しているようです。
さて、僕は海の向こう側の国々でよく指揮をするのですが、他の国のことを指すときに日本語では「海外」という言葉をよく使います。日本やイギリスのような島国ならば「海外」でいいのですが、世界の国々はほとんど陸続きなので「海外」という言葉はピンと来ないのです。たとえば、フランス人が陸続きのドイツへ行くのに、「海外旅行でドイツに行く」とは言わないのです。実際に海外にいると、「oversea(海外)」ではなく「abroad(外国)」を聞くことが多いです。Abroadの語源は、「out of doors(ドアの外)」です。