長生きして欲しいと思っていても、ほとんどの場合、親は自分より早く死んでしまいます。亡くなってから遺品の整理で困る前に、生きているうちに親の家を片付けて、できるだけすっきりさせておきたいと考える人は多いはず。
でも、ちょっと待ってください!「親の家の片付け」は案外後でモメやすいのです。
『親の家は片づけるな。』(岡田敏子/著、泰文堂/刊)によるとその理由の一つは「親子間のコミュニケーション不足」なのだとか。
■「親の家の片づけ」がケンカに発展するパターン
大人になって親離れして、色々なことに自信がつくと、自分が親を追い越したような気持になりがちです。それもあって、年老いた親の家が散らかっていると、つい上から目線で「こんなに散らかってちゃ、やっぱり良くないわよ。あ、大丈夫。私が片づけてあげるから」と、親の意向を聞かずに強引に片づけを始めてしまうということが起こります。
しかし、親には親の事情がありますし、親子の関係も一緒に暮らしていた時期とは違うはずです。たとえば、ダイニングテーブルの上がごちゃごちゃなのは、足腰が衰えたため移動が億劫になって、必要なものを手が届くところにすべて置いていたのかもしれませんし、部屋が不要なものであふれ返っているのは、「いるものといらないもの」を判別する判断力が衰えてきたのかもしれません。
こうした親の変化を理解し、その心情に寄り添う形でないと、片づけをしてもありがた迷惑になってしまうばかりか、下手をするとケンカになってしまいます。
現に、子どもが家を片づけていった後、
・主人は寝たきりでしたが、頭はしっかりしている。主人が集めたものを承諾なしに捨てられたことに腹が立った。
・「もう2階には上れないでしょ。だから2階のものは処分してもいいじゃない」と言われカチンときた。
など、子どもの強引な片づけに不満を持ったり、怒りを感じる親は多いのです。
■片づけるならかならず許可を!
だからこそ、まずは片づけるにあたって親自身の了解を得るのが大前提。
嫌がっているのなら丁寧に説得する必要がありますし、日頃からちょっとした手伝いを買って出るなど、親が頼りやすい関係性を作っておくことも大切です。
実際に片づけはじめるのはそれができてから、と心得ておきましょう。
■コミュニケーションは「さしすせそ」で円滑になる
そして、実際に片づけはじめてからも、親子でコミュニケーションを取りながら進めていくことになります。その過程では、親と意見が食い違ってイライラすることもあるはずですが、ここでケンカをしてしまったら全てが台無し。上手に親の本音を聞き出して、希望に沿う形で片づけるために、本書で紹介している、
さ:「さすがあ」と感心する。
し:「知らなかったわ!」「上手なのね」と誉める。
す:「すごいね」「素敵だね」と認める。
せ:「絶対次はできるから大丈夫」と励ます。
そ:「そうね!」「その通り!」と同意する。また、「そこまでしてくれるのはあなただけよ」と相手を立てる。
という「さしすせその法則」は役立つはずです。
自分の意見を押しつけていては、「親の家の片づけ」はうまくいきません。
大事なのはしっかり親とコミュニケーションをとり、目的や方法、そして実際にそこで暮らす親の希望を共有すること。そうすれば親もすすんで片づけに協力してくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。