あなたは東京23区だったら、どこに住みたいだろうか。住みたい街を選ぶ基準は何だろう? 治安の良さや子育てのしやすさ、物価、商店街の充実度など、よく見ていくと、それぞれの区によって大きく違いがあるものだ。
23区を環境や実力についてデータを通して分析し、ランキング付けや解説をしていくのが、『23区格差』(池田利道/著、中央公論新社/刊)だ。
暮らしやすい街の条件のひとつとして、商店街の充実度は大きな要素だろう。地方都市ではシャッター通りになってしまった商店街も多いが、東京23区には全国有数ともいえる商店街の活力が維持されている。
2013年の『東京都商店街実態調査』によれば、23区の商店街数は実に約2,000か所ある。人口1万人あたり2.2か所の商店街がある計算だ。23区には、大きな売り場と大きな駐車場を必要とする総合スーパーが少ない代わりに、数多くの食品特化型のスーパーがひしめき合っているのだ。
そんな23区でも、商店街が元気な区とそうでない区がある。
東京には「三大銀座」と呼ばれる商店街がある。品川区の戸越銀座、北区の十条銀座、江東区の砂町銀座だ。
品川区には、戸越銀座だけでなく、「横のデパート」と称される武蔵小山商店街(パルム)をはじめ、活気あふれる商店街が網の目のように広がっている。十条銀座を擁する北区も商店街の宝庫だ。最大の特徴は安さにある。十条銀座の安さを指して、地元では「十条価格」と呼ぶらしい。また、葛飾区や大田区の蒲田周辺などにも、元気な商店街が多い。
一方、商店街が低調な区には3つの傾向がある。1つ目は、千代田区、中央区、港区の都心3区だ。著しい人口減少とともに、かつて賑わいのあった商店街も衰退していった。2つ目は、比較的新しく住宅開発が進んだエリア。練馬区、江戸川区、千住地区以外の足立区などがその代表。練馬区と足立区は総合スーパーが多く、江戸川区は激安食品スーパーの一大集積地であり、商店街の分の悪さは否めない。3つ目は、文京区、目黒区、渋谷区などの「三高」の区。三高の奥様と商店街での買い物は結びつきにくいのかもしれない。
商店街が元気な街は、人と人がつながり合う街でもある。スーパーやコンビニとは違った魅力がある。東京の商店街が活力を維持している大きな理由のひとつでもあるのだろう。
商店街の活気の他にも、23区それぞれの特徴や良し悪し、住み心地、サービス、年収、学歴、職業、ランク付けなど、23区の格差を紹介している本書。実際に住んでいる区はどのような位置づけなのか、住んでみたい区はどんな感じなのか。住むとしたら、どの区がお得で住みやすいのか参考にできる一冊だ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。