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相原孝夫「仕事と会社の鉄則」

20代の頃「勘弁してくれよ」と思った上司に、30年後の今、本当に感謝している理由

文=相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント
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 会社の上司の場合はどうか。当然、関わりを持たないわけにはいかない。学校の先生以上に直接的な関わりを日々持たなくてはならない。仕事の場である以上、生活もかかっている。転職という選択肢も一般的にはとりづらい。結果として、どんなにひどい上司であったとしても、なんとか我慢して、折り合いをつけてやっていくしかない。しかも、上司・部下の関係は結構長く続くことが多い。社内での人材流動性の低い会社であれば、その関係は10年以上続くこともある。ゆえに、良くも悪くも、その影響を大きく受けることが必然となる。

デキる人は「誰からでも学べる」

 長い職業人生のなか、運悪く、ひどい上司にあたってしまうこともあるだろう。そのような場合、その後、当人が上司の立場になった際の対応は以下の3つに分かれる。

(1)その上司同様にひどい上司になる

(2)その上司を反面教師として、模範的な振る舞いをする

(3)その上司からも何かしらを学び取り、自身の糧にする

 長いこと、ひどい上司の元にいた場合など、上司としての振る舞いのイメージが自らに沁みついてしまい、その立場になった際には、当然のごとくそれを再現することになりやすく、その場合、上記の(1)となる。米国における研究でも、リーダーの行動は「トリクルダウンする」、つまり組織階層の下方向に伝染し、部下の行動に影響を及ぼすことが明らかになっている。「そうしたリーダーシップの発揮の仕方しか知らないので」と言うのを聞いたことが実際に何度もある。ひどい上司ながらも、関係性はさほど悪くはなく、むしろ尊敬していたような場合には特にこうなりやすい。

 一方で、関係性が良くなく、尊敬もできず、なんとか我慢してやってきたような場合は、(2)のようになる傾向が強い。一方で、ハイパフォーマーに比較的多く見られるのが(3)である。

 私が仕事上多く実施している、アセスメント・インタビューの際に、「大きな影響を受けたかつての上司」に関わる質問をすることがよくある。インタビューの対象者は経営幹部候補者などハイパフォーマーばかりなので、(1)にあたる人はいない。(2)か(3)となる。どちらが多いかといえば、正確に数えているわけではないが、感覚的には半々くらいと思われる。

相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント

相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント

早稲田大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了。マーサージャパン副社長を経て現職。人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わる企業支援を専門とする。著書に『コンピテンシー活用の実際』『会社人生は「評判」で決まる』『ハイパフォーマー 彼らの法則』『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか』など多数。

株式会社HRアドバンテージ

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