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『入社10年目の羅針盤』(岩瀬大輔著)ベストセラー特別企画(3)

苦難のライフネット生命を成長軌道に旋回させた起死回生策〜儲けの“元”を開示?

苦難のライフネット生命を成長軌道に旋回させた起死回生策〜儲けの“元”を開示?の画像1「ライフネット生命保険 HP」より
 昨年も数多くのビジネス書が刊行され、その中でもベストセラーの1つとして特に話題になったのが、ネット生保トップシェア・ライフネット生命保険副社長・岩瀬大輔氏が上梓した『入社10年目の羅針盤』(PHP研究所)だ。自身の経験を踏まえた実践的な内容が満載の本書を、「入社10年目の部下」に読ませるために購入する管理職も多いという。今回はそんな本書の中から、岩瀬氏が内容の一部をご紹介します。

●困った時は「神頼み」してもいい。続けていれば「拾う神」あり

 実は、ライフネット生命保険にも苦難の時期がありました。新聞広告、電車広告、ネット広告、あらゆる手を使って自分たちの商品のよさをPRしても、世間にいっこうに伝わらない。会社設立時には好意的に取り上げてくれたメディアも、ネガティブな記事を書くようになりました。どうにもならない時でした。

 そんな時は初心に返ることが大切です。私の初心は「仲間と楽しくいい仕事がしたい」ということ。そこで、開業当初からしようと考えていた保険料の原価開示をすることにしました。この反響は予想以上のものでした。

 保険料は大まかにいうと、保険金支払いの原資となる「純保険料」に保険会社の運営費となる「付加保険料」が上乗せされています。この付加保険料の差によって全く同じ保険商品でも価格が変わってきます。このような企業の儲けの元となる部分を白日のもとにさらしたのです。

 この原価開示を境に、ライフネット生命の契約数は右肩上がりで上昇していきました。顧客の期待に応えるために、地道な努力を続ける。そのために「仲間と楽しくいい仕事をしたい」という初心に返ったからこそ、起死回生のチャンスが訪れたのだと思います。

●自分のメンターを持て! 注意してくれる人はだんだんいなくなる

 入社10年目くらいのビジネスパーソンになると、お互い叱ってくれる人が少なくなります。ちょっと間違った方向に進みそうになった友人を見ても、いちいち助言することは、少なくなってくるのです。

 かつては、迷っている時にその道が正しいのか教えてくれたり、間違った方向に進んでいる時にそのことに気がつかせてくれたり、何かチャレンジしようとする時に背中を押してくれたメンター(助言者)。その人達が周りにほとんどいなくなっているのです。

 だからこそ、「メンター」を持とうと、はっきり意識しておくくらいでないといけません。そんな中でもわざわざ自分の時間を削って、神経をすり減らして叱ってくれるメンターは、あなたに愛情があるからこそ行動してくれるのです。叱咤激励されたら感謝して「ありがとう」と言えるくらいに受け入れるようにしましょう。

【本特集の目次】
(1)他人より8倍の仕事をするデキる人になるためには?
(2)『ほうれんそう』にうるさい上司への“逆ばり”対処法?

苦難のライフネット生命を成長軌道に旋回させた起死回生策〜儲けの“元”を開示?の画像2
●岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
:ライフネット生命保険株式会社代表取締役副社長
東大法学部在学中に司法試験に合格するも、卒業後はボストン・コンサルティング・グループや投資ファンド会社を経てハーバード大学ビジネススクールに留学。同大学でMBAを取得し、上位5%の成績で卒業後は、戦後初の独立系生命保険会社・ライフネット生命保険の設立に参画。現在は同社代表取締役副社長を務める傍ら、2010年世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」にも選出され、毎年同会議に出席している。

BusinessJournal編集部

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