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なぜ百松に着目するのか。それは、彼が「失敗多き」人だったからといえるでしょう。十代のときに初めて手がけた灰買い(※2)ビジネスでは大損失を出し、さらには大本組の原型となる会社をスタートさせた直後に過労で倒れて多額の負債を背負うことに。返済のため、彼は「大本家の家財や田畑を売り払う」という選択をし、大本家は破産してしまいます。
百松はその後数年間、文字どおりのどん底生活を味わうことになります。そして、ビジネスを再び軌道に乗せ、「株式会社大本組」が誕生するまでには、この後、さらに30年を要しました。
しかし、百松が創業以前、さらには創業直後にこれらの失敗をし、危機に直面したからこそ、同社は「堅実経営」を実現できたのではないかという見方ができます。というのも、本書を読むと、彼は一度周囲の信用を完全に失ったことで、その後以前にも増して「お客様からの信用を得ること」を重んじるようになった、というエピソードが数多く紹介されているからです。
そう考えると、「100年生きながらえる」という大事業も、ひとつひとつの小さな信用を積み重ねた結果なのだと気づかされます。どうすれば企業は顧客から信用を得ることができるのか。100年続く企業に必要なものとは何かに踏み込んだ本書は、経営者はもちろん現場で働くビジネスマンにとっても参考になる点は多いでしょう。
(新刊JP編集部)
※1…東京商工リサーチ「2014年『倒産企業の平均寿命』調査」調べ
※2…灰買いとは、家庭のかまどから出る灰を仕入れ、農業用の肥料や炭団づくりの原料として卸すビジネスのこと
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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