「もっと仕事ができるようになりたい」「悩みを解決したい」「もっと成長したい」。
そう思って、自己啓発書を読んだものの、いまいち成長が感じられない。これは「あるある」だ。では、なぜ、自己啓発書を読んでも、成長できないのだろうか。
楽に生きることを説く本は本当の自己啓発書ではない
『魂の読書』(清水克衛著、育鵬社刊)では、本のソムリエであり、東京都の篠崎にある書店「読書のすすめ」店主の清水克衛氏が、マンガ、児童書から小説、実用書、思想書、古典書までさまざまな本を紹介しながら、本当の成功法則や自己啓発とはどのようなものなのか、について解説する。
巷にあふれる「啓発本」といわれる本は、どうしたら楽に生きられるかを説いているものが多い。どうしたら楽に仕事ができるのか、どうしたら楽に金儲けができるのか、どうしたら楽に自分の望むものを手に入れることができるのか。
だが、本当の「啓発本」はこのようにエゴに満ちたものではない。魂の底から沸き起こる「元気・やる気・本気」といわれる「気」が充満し、誰かの笑顔が見たいのみで行動に結びつく本のことだ。
そういう意味では、今、本当の啓発がとても必要な時代なのだと清水氏はいう。
本のソムリエがすすめる「自己啓発書」とは?
また、最近は、「○○しなさい」「○○でなければならない」など、自分の頭で考えない自己啓発の本が多い。本当の啓発とは、心に火が点く、魂が燃えるものだ。なので、リハビリのために難解な本も読むべきだという。
では、本のソムリエの清水氏がすすめる本当の自己啓発書は何か。
それは、福沢諭吉の『学問のすゝめ』だ。明治のはじめに出版された『学問のすゝめ』は驚異的なベストセラーとなった。当時の日本の人口は3,400万人ほどで、その中で300万部以上も売れたのだ。
当時は江戸時代の身分制度がなくなったばかり。お百姓の家に生まれた若者は「学問というのは武士がするものであって、自分には一生関係のないものだ」と思っていた人が多かったそうだ。
諭吉はそんな人たちに向けても、文字通り「学問のすすめ」をした。そして、『学問のすゝめ』を読んで、「そうか、自分も学問をしなければ!」と目が覚めるように思い、燃えるような気持ちになったのだ。
こういった読むと「肚の底」から心が燃えてきて、無性に動きたくなり、魂の目覚めのスイッチが入る。これが本当の自己啓発書なのだ。
本書の本文中に紹介されている本に加え、巻末にはブックガイド「世の中に流されないための60冊」を収録しているので、何を読もうか迷っている人には読書の参考にもなるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。