「強さ」に憧れを覚え、「強くなりたい」「強くあらねば」と思ったことはないだろうか。それは肉体的な強さかもしれないし、精神的な強さかもしれない。ただ、どんな「強さ」であっても、自分自身で磨いていかなければ、強くはなれない。では、強さを磨くにはどうすればいいのか。
格闘家ドクターとして知られる二重作拓也氏の著書『強さの磨き方』(アチーブメント出版刊)には、強さを磨くための方法がつづられている。
その中でも着目したいのが「弱さ」だ。この弱さを見つめ直すことが、自分の強さにつながっていく。強さと弱さはコインの表と裏の関係であり、補完し合う関係ともいえる。では、強くなるために、私たちはどう弱さを見つめればいいのだろうか?
強くなるためには「弱さ」が出発点となる
偉人やずば抜けた成果を出してきた人を見ると、自分の弱さからスタートしていることが多い。例えば、バスケットボールの神様と言われるマイケル・ジョーダンは高校時代2軍止まりだったし、作曲家のベートーヴェンは20代後半で聴覚を失った。アインシュタインは4歳まで言葉を話せず、7歳になるまで文字も読めなかったという。しかし、彼らは止まることなく自分の強さを磨き、傑出した成果を出した。
自分は強いと思ってしまえば、それ以上は強くなれない。自分は知っていると思ってしまえば、それ以上は学ばなくなる。強くない、知らない。そうした弱さこそが強さへの出発点であると二重作氏は述べる。
どうしようもないことからは「逃げる」
また、本書で二重作氏は「逃げる」ことを肯定している。
たとえば「災害」や「新型ウイルス」など、私には想定外の危険が次々と襲いかかってくる。自分で対処できればそれに越したことはないが、自分の力ではどうしようもないと直感した時は「まず逃げる」を肯定してもいいのだと、二重作氏はつづる。
ただ、ここでいう「肯定」は、「奨励する」というものではない。「逃げる」ことで立て直しをはかったり、相手を油断させたり、距離を取って俯瞰してみるなど、その後の選択の幅が広がる。
人生において、逃げたほうがいい局面は必ずある。そこで「逃げることは弱いこと」と考えて立ち向かってしまうと、逆に命や健康、心の平穏が脅かされてしまうこともある。強くなりたいのであれば、逃げるという選択も大事なのだ。
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「弱さ」についての章では他にも「嫉妬」「不安」「ストレス」「孤独」といったネガティブな感情の意義について、多角的な視点から考察し、強さを磨くために必要な考え方を伝授してくれる。
また、本書の最終章では、強さのロールモデルとしてモハメド・アリやデヴィッド・ボウイ、勝海舟などを取り上げつつ、彼らのストーリーやエピソードから「強さを磨く」とはどういうことかが学べるようになっている。
どのようにして強さを磨いていけばいいのか。強くありたいと思う人たちにとって、大いにヒントを与える一冊だ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。