例えば、想像してみてください。もし、警察官が「モチベーションが低かったので、犯人を逃してしまった」と言い訳をしたら、どう思いますか? 医師が「モチベーションが低かったので、処置を誤ってしまった」と言ったら、どう思いますか? もちろん、「そんなことはあり得ない。大問題だ」と思いますよね。それは、どんな仕事においても同じなのです。
それでは、部下の生産性を上げるために、管理者はどのようなマネジメントをするべきか。それは、「位置」と「結果」を正しく部下に認識させることで、解決が可能です。
「位置」とは、自分がどういう立場の存在で、誰からの評価を得ないといけない存在なのかを正しく認識すること。「結果」とは、何をいつまでにしなければならないのか、どういう責任があるのかを認識すること。
部下が自らの「位置」や「結果」を誤解している時に、上司が期待する動きを取らなくなるのです。その時にやるべきことは、モチベーションを与えることではなく、部下がどこに「位置」していて、どのような「結果」を求められている存在なのか、その事実をしっかりと認識させることです。
そうすると、行動を起こすことに「理由」は必要なくなります。理由がいらなくなるということは、余計なことを考えなくてもよくなるということ。迷わずに高い集中力で仕事ができるようになります。
すると、あれこれ言い訳を考えていた時と比較して、確実に成果が上がります。そして、成果が上がると、成長感が得られ、それが「もっと成長したい」「もっと成果を上げたい」というモチベーションになる。これを社員一人ひとりが認識できるようになると、組織はどんどん元気になっていくでしょう。
動く理由に、モチベーションを与える必要はありません。目標を達成したことによる自然発生的なモチベーションというのを感じられる組織が、正しい組織なのです。
(2)部下の仕事に対して細かい指示出しをする
「ノウハウを伝授するために細かく指示出しをしているのに、なかなか部下の成長を実感できない」
これは、マネジメントする側が、もともと優秀なプレイヤーであればあるほど、起きやすい事例ですね。部下の一挙手一投足が気になって、「こんな営業トークを使ったらいいのに」とか、「なんでこういう資料にしないんだ!」と、やり方にまですべて口を出してしまう。これは、マネジメントの仕方としては完全に間違いです。
「こういう状態をいつまでにつくりなさい」と設定して、それが達成できたかどうかを評価する。管理者は、経過ではなく結果の管理をするだけで良いのです。